2010/2/8

環境・通信・その他

CCS事業に排出権売却益を充当、加盟国が計画承認

この記事の要約

EU加盟国は2日、温暖化対策の柱の1つと位置付ける二酸化炭素回収・貯留(CCS)実証プロジェクトの財源について協議し、二酸化炭素(CO2)排出量取引における最大3億トン分の排出権の売却益をCCSと再生可能エネルギー関連事 […]

EU加盟国は2日、温暖化対策の柱の1つと位置付ける二酸化炭素回収・貯留(CCS)実証プロジェクトの財源について協議し、二酸化炭素(CO2)排出量取引における最大3億トン分の排出権の売却益をCCSと再生可能エネルギー関連事業に充てる計画を承認した。これは現在の排出権価格で約38億ユーロに相当する。欧州議会の承認を得て、欧州委員会と欧州投資銀行(EIB)が対象プロジェクトへの配分を決定する。

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EUは昨年、景気対策の一環として総額40億ユーロに上るエネルギー分野への投資計画を発表。CCS事業についてはドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、スペイン、英国で計画されている6つのプロジェクトにEU予算から総額10億ユーロを拠出する方針を明らかにした。今回承認された排出量取引からの財源はこれを補充するもの。EUは2020年の実用化に向け、15年までに域内で12前後のCCS実証プロジェクトを軌道に乗せたい考えを示している。

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CCSをめぐっては、回収したCO2を長期にわたって地下に貯留する際の安全性を疑問視する意見があるほか、実用化までの時間やコスト効率を考えた場合、再生可能エネルギーなど他分野の研究を優先すべきだといった声も聞かれる。しかし、現状ではエネルギー消費の大部分を化石燃料に依存していることから、CCSは温暖化対策の重要な切り札と位置づけられている。

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