2010/2/22

産業・貿易

欧州委がEU共通の預金保証制度を検討、預金準備率は一律2%に

この記事の要約

欧州委員会は銀行が破たんした場合の預金者保護を強化するため、EU共通の預金保証制度を導入する方向で検討を進めている。18日付フィナンシャルタイムズ・ドイツ版(FTD)によると、欧州委は域内の金融機関に対し、将来的に預金量 […]

欧州委員会は銀行が破たんした場合の預金者保護を強化するため、EU共通の預金保証制度を導入する方向で検討を進めている。18日付フィナンシャルタイムズ・ドイツ版(FTD)によると、欧州委は域内の金融機関に対し、将来的に預金量の2%を準備金として拠出するよう求める方針という。欧州委の報道官は具体的な預金準備率については言及を避けたものの、預金者保護を強化する必要があるとの認識を示し、法案の策定を進めていることを確認している。

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FTDが入手したEUの内部資料によると、欧州委は銀行の預金準備金をEU全体で現在の230億ユーロから10年後には1,280億ユーロに引き上げたい考えで、各行に現在の3-5倍の拠出を求める方針。欧州委はこれにより、各行の収益が最大10%縮小すると試算している。

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欧州委のヒューズ報道官は報道を受け、「EUレベルで預金者を保護するためのスキームを構築する必要があり、基本的には銀行に分担金の拠出を求めることになる。国ごとに対応が異なる現状を改善するため、EU共通の預金保証制度の導入が可能か検討を進めている段階だ」と説明。預金準備率を2%に設定するとの情報については言及を避けたが、夏までに法案が提出されるとの見通しを示した。

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欧州委が預金保証制度の一本化を検討している背景には、2008年10月に経営破たんしたアイスランドのランズバンキ銀行に預金していた英国とオランダの預金者の救済策をめぐる混乱がある。大手銀行が揃って破たんしたアイスランドでは預金保険制度が崩壊したため、英国とオランダ政府が自国預金者の救済に乗り出し、その後、アイスランド政府に資金の返済を求めた。アイスランド議会は昨年12月、英国とオランダへの返済条件を定めた法案を可決したが、グリムソン大統領が拒否権を発動。法案の是非をめぐり、3月6日に国民投票が実施されることになっている。

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