2010/2/22

産業・貿易

新金融規制で米に追従せず、欧州委担当委員が表明

この記事の要約

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は16日、米オバマ大統領が提案している新金融規制案(ボルカー・ルール)について、EUが必要としているのは金融業界の「報酬に対し拘束力を持つ規則」であり、金融機関の規模やリ […]

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は16日、米オバマ大統領が提案している新金融規制案(ボルカー・ルール)について、EUが必要としているのは金融業界の「報酬に対し拘束力を持つ規則」であり、金融機関の規模やリスク取引に関する規制ではないと述べ、EUによる導入に否定的な考えを明らかにした。

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就任してから初めてEU財務相理事会に出席した同委員は、理事会後の記者会見で「米、欧の銀行業務は構造が異なり、欧州で問題となっているのは特定の業務や個々の金融機関の規模ではない」と指摘。オバマ大統領が提唱するボルカー・ルールは欧州市場には適さないとの見解を表明した。

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AP通信が入手した財務相理事会のブリーフィング・メモによると、EUの当局関係者らは「ボルカー・ルールはEUが採用している域内市場とユニバーサルバンキングの原則とは相容れない」として、同様の規制導入に懐疑的な考えを示している。また、オバマ大統領が金融機関を対象に設ける意向の「金融危機責任料」についても、「国際金融業における“公平な市場”に問題を生じる」として疑問を呈している。金融危機責任料については、欧州の銀行8行が徴収対象になる見通しだ。

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オバマ大統領は1月、金融危機への対応として金融機関に投じた公的資金の損失埋め合わせを目的にこの計画を発表。米政府は、国内の大手金融機関約50社から向こう10年で900億ドル以上を徴収できると見込んでいる。

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金融制度改革の主導権を握るバルニエ委員は、将来に起こり得る金融危機への対応策として、当局の早期介入や破たん後の処理に関する新規則などのほか、金融機関の取締役会の権限および独立性の強化、株主と外部監査機関が果たすべき役割についても検討したい考え。ただ、同日の会見では、EUにおける新規制の具体案を示す時期についての言及を避けた。同委員は近く、米ワシントンおよびニューヨークを訪問、金融システムの改善に向けた国際的努力について協議する予定だ。

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