2010/3/1

環境・通信・その他

20週の法定産休期間と父親休暇導入、欧州議会専門委が新提案

この記事の要約

欧州議会の女性の権利委員会は2月23日、EUで女性労働者に与えられる出産休暇期間を現在の最低14週間から20週間に延長するほか、新たに最低2週間の「父親休暇」を導入することなどを柱とする法案を賛成多数で採択した。欧州委員 […]

欧州議会の女性の権利委員会は2月23日、EUで女性労働者に与えられる出産休暇期間を現在の最低14週間から20週間に延長するほか、新たに最低2週間の「父親休暇」を導入することなどを柱とする法案を賛成多数で採択した。欧州委員会が2008年に打ち出した原案と比べて労働者の権利を一段と強化した内容になっており、経済危機で打撃を受けた産業界や深刻な財政赤字に直面する加盟国からの反発が予想される。欧州議会は3月の本会議で法案の採決を行い、その後にEU閣僚理事会で協議する。 

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EUが1992年に採択した「妊娠中または最近出産した労働者の安全及び健康の改善を促進するための指令」によると、労働者は産前・産後に連続する14週間の出産休暇を取得する権利を有し、この期間には産前または産後に最低2週間の強制的な出産休暇が含まれると規定している。欧州委が打ち出した現行指令の改正案は、国際労働機関(ILO)の勧告に基づいて法定産休期間を18週間とし、休暇中の全期間にわたって賃金の100%支給を義務付けるという内容。

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これに対して、今回採択された対案の柱は◇法定産休期間を20週間に延長して全期間にわたり賃金の100%を支給し、産後6週間の休暇取得を義務付ける◇法定産休期間中に男性労働者に対して最低2週間の休暇を保証する――の2点。さらに、現行ルールでは妊娠の開始から出産休暇が終了するまでの期間、雇用者は妊娠・出産を理由に労働者を解雇できないことになっているが、この期間を出産休暇の終了から少なくとも6カ月後まで延長することを提案している。

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法定産休期間は現在、ドイツの14週間からブルガリアの最大45週間まで国によって大きく異なり、休暇中の手当てにもばらつきがある。たとえば英国では最大1年間の出産休暇が認められているが、最初の6週間に賃金の90%が支払われた後は33週間にわたって週123ポンドの法定給付が支給され、その後は給付がなくなる。英産業連盟(BCC)は欧州議会の対案が採択された場合、企業は新たな負担を強いられることになり、社会保障制度の存続も脅かされると警告を発している。

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