2010/3/8

競争法

独仏テレコムの英携帯部門合併、条件付きで承認

この記事の要約

欧州委員会は1日、欧州通信大手のドイツテレコムとフランステレコムが英携帯電話サービス子会社を統合する計画を承認したと発表した。両社が提案した競争上の是正策を実行することが条件となる。誕生する新会社は携帯電話サービスで英最 […]

欧州委員会は1日、欧州通信大手のドイツテレコムとフランステレコムが英携帯電話サービス子会社を統合する計画を承認したと発表した。両社が提案した競争上の是正策を実行することが条件となる。誕生する新会社は携帯電話サービスで英最大手に浮上する。

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合併するのはドイツテレコムの携帯電話子会社であるTモバイルの英部門(TモバイルUK )と、フランステレコム子会社オレンジの英部門(オレンジUK)。英携帯電話サービス市場でオレンジUKは3位、TモバイルUKは4位につける。4月にも誕生する予定の新会社のシェアは37%に達し、テレフォニカ(スペイン)子会社で現最大手のO2の27.7%、同2位ボーダフォンの24.7%を抜き、1位に躍り出る。

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この合併をめぐっては、英国内のライバル会社が反発したほか、英独禁当局の公正取引庁(OFT)が英携帯電話サービス市場の競争に大きな影響を与えるとして、合併可否の審査権を移管するよう欧州委に要求。欧州委は3月1日までに対応を決める方針を打ち出していた。

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これに対して、英当局に審査権が移ると不利になると判断したドイツテレコムとフランステレコムは、早期の合併認可を取り付けるため、◇TモバイルUKが英携帯電話サービス5位の3UK(香港財閥ハチソン・ワンポア子会社)と結んでいる無線ネットワークアクセスを共有する契約について、3UKが不利とならない条件で共有を続けることができるようにする◇英国に3つある周波数帯域のうち、第4世代の移動通信システムに適した1800メガヘルツについて、新会社が保有分の4分の1を手放す――という是正策を提示。欧州委は同措置が実施されれば競争上の懸念が払しょくされるとして、承認に踏み切った。OFT も今回の結果を歓迎し、審査権移管の要請を取り下げた。

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O2とボーダフォンは欧州委の決定に異議を唱えず、TモバイルUKとオレンジUKの合併を受け入れるが、巻き返しに向けた事業戦略を練り、独仏連合に対抗していくとみられる。

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