2010/3/15

産業・貿易

欧州委が米政府を保護主義的と批判、米空軍調達の入札めぐり

この記事の要約

欧州航空防衛大手EADSと米ノースロップ・グラマンのコンソーシアムが米空軍の次世代空中給油機の調達の入札を断念したことをめぐり、欧州委員会は9日、入札の条件が公正な競争を阻害した恐れがあるとして米政府を批判した。同コンソ […]

欧州航空防衛大手EADSと米ノースロップ・グラマンのコンソーシアムが米空軍の次世代空中給油機の調達の入札を断念したことをめぐり、欧州委員会は9日、入札の条件が公正な競争を阻害した恐れがあるとして米政府を批判した。同コンソーシアムの撤退により入札しているのは米ボーイングだけとなり、同社の受注がほぼ確実視されている。

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米国防省は総額350億ドルで1950年代の空中給油機を刷新する計画だが、EADSとノースロップ・グラマンは8日、米国防省が変更した選定基準は小型の機体を提案しているボーイングに明らかに有利になっていると批判している。ボーイングの機体が「767」をベースにしているのに対して、EADSとノースロップ・グラマンはEADSの子会社エアバスの「A330」がベースとなっている。

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この入札をめぐっては、2003年にボーイングがいったん落札したものの、不正が発覚したため再入札が行われ、2008年2月にEADSとノースロップ・グラマンが落札した経緯がある。これに対してボーイングが異議を申し立てたため入札はやり直しとなっていた。

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欧州委は、防衛分野の通商ではこれまでもEU側の大幅な入超で、2008年の米国側の輸出額が50億ドルに達しているのに対してEU側は22億ドルしかないと指摘。今回の問題については今後の成り行きを注意深く見守るとしているとしている。一方、ブリューデレ独経済技術相は「国防省のやり方に失望した」と評し、自由市場を一方的に制限すべきではないとして保護主義的動きをけん制。政治問題や世界貿易機関(WTO)に提訴に発展させる可能性も示唆している。

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これに対して米国防省のリン副長官は、「現行の競争は公正なものと確信している」と主張。同省のスポークスマンも問題は価格であり、選定基準を満たす機体を購入すると説明している。また応札企業が1社だけとなったため、発注を当初予定していた5月半ばより前倒しする可能性も示している。

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