2010/3/15

環境・通信・その他

再生可能エネルギー利用比率、目標達成の見通し=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は11日、エネルギー消費における再生可能エネルギーの利用比率を2020年に20%にまで引き上げるとした目標について、達成が可能であるとの見通しを明らかにした。EUとしての目標は加盟国がそれぞれに定めた目標の平均 […]

欧州委員会は11日、エネルギー消費における再生可能エネルギーの利用比率を2020年に20%にまで引き上げるとした目標について、達成が可能であるとの見通しを明らかにした。EUとしての目標は加盟国がそれぞれに定めた目標の平均値だが、それを上回る20.3%を実現できる見込みだ。

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EUでは各国が再生可能エネルギーの利用比率引き上げについて独自に目標を設定しており、ドイツ、スペイン、フランスはそれぞれ18%、20%、23%を目指している。最も野心的なのはオーストリアの34%。2020年には加盟国中12カ国が目標を達成し、10カ国がそれを上回るとみられる。一方、未達成となることが予想されるベルギー、デンマーク、イタリア、ルクセンブルグ、マルタの5カ国は今後、不足分を補うため、他の加盟国または域外から再生可能エネルギーを輸入することになる。なお、今回公表されたのは各国が欧州委に申告した予測値のみで、目標達成に向けた具体的方策などは、6月までに報告されることになっている。

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現時点において、再生可能エネルギーのうち最も使用量が多いのはウッドチップ、農業廃棄物などから得られるバイオ燃料。2007年における域内の再生可能エネルギー利用比率は9%で、そのうち約63%がバイオマスやバイオ廃棄物をエネルギー源としていた。また、スペインでは太陽光発電の利用が大幅に拡大しているほか、複数の加盟国がパイプラインや送電網など、エネルギー関連インフラへの投資を計画中だ。

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再生可能エネルギーの普及促進策は、環境政策であると同時に経済政策でもある。利用比率を20%にすることで280万の雇用が生まれ、GDPの1.1%増加にもつながると予測されている。欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)は、エネルギー部門で新たな投資機会が生まれることを強調し、「(目標達成が見込めることは)EU経済と域内の企業にとって非常に前向きなメッセージだ。グリーン技術への投資や再生可能エネルギーの生産に対するインセンティブとなる。CO2の削減を助けるとともに、域内におけるエネルギーの安全性を高めることにもなる」と述べた。再生可能エネルギーの利用比率引き上げは、EUのいわゆる「20-20-20戦略」の一環。温暖化ガス排出量を1990年比で20%削減し、エネルギー効率を20%引き上げることと併せて、2020年までの実現を目指している。

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