2010/4/19

産業・貿易

危険製品の通報件数、中国製が60%=RAPEX年次リポート

この記事の要約

欧州委員会は15日、EU域内で流通する危険な製品(食品を除く)の通報システム「RAPEX」の年次リポートを公表した。2009年は消費者の健康や安全を損なう可能性のある製品の通報件数が前年比7%増の1,993件に上り、5年 […]

欧州委員会は15日、EU域内で流通する危険な製品(食品を除く)の通報システム「RAPEX」の年次リポートを公表した。2009年は消費者の健康や安全を損なう可能性のある製品の通報件数が前年比7%増の1,993件に上り、5年連続で前年の水準を上回った。通報された危険製品のうち60%が中国製(香港を含む)で、この割合は前年に比べて1ポイント上昇した。

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製品別の通報件数は玩具類が全体のおよそ30%にあたる472件と最も多く、衣類(395件)、自動車(146件)、家電品(138件)と続いている。危険製品の製造国(中国を除く)を地域別にみると、EU加盟国と加盟候補国および欧州経済領域(EEA)が20%を占め、その他の地域は13%となっている。製造国が不明なケースは全体の7%で、07年の13%、08年の10%から減少した。国別では中国に次いでドイツ製品が多く、以下イタリア、トルコ、台湾、米国と続いている。また、リスク情報に関する当局からの通報件数が最も多かったのはスペイン(220件)で、ドイツ、ギリシャ、ブルガリア、ハンガリーを加えた上位5カ国からの通報が全体の約半数を占めている。

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一方、フランス、ドイツ、イタリア、チェコ、ブルガリアなど域内13カ国の当局が昨年実施した玩具類の安全性に関する調査によると、検査対象となった約1万4,000品目のうち803品目が安全性テストの対象となり、このうち217品目が安全性の要件を満たしていなかった。EU域内で販売される玩具類は中国からの輸入品が全体の約85%を占めている。

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欧州委はRAPEXの通報件数で引き続き中国製品が突出しているのはEU市場に輸入される中国製品が年々増加しているためで、全体としては安全性向上に向けた取り組みに大きな進展がみられると中国側の対応を評価している。ダッリ委員(保健・消費者政策担当)はそのうえで、「EUが中国企業に対して工場の閉鎖を命じることはできない。危険な製品は製造国で根絶されなければならない」と強調。6月に中国を訪問して当局や企業にさらなる安全対策の強化を要請する意向を示した。

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