2010/4/19

競争法

スウェーデン電力大手への調査打ち切り、取引促進策を評価

この記事の要約

欧州委員会は14日、スウェーデンの大手電力会社スベンスカ・クラフトナット(SvK)に対する競争法上の調査を打ち切ると発表した。SvKが提示した近隣諸国との電力取引促進に向けた改善策について検討した結果、一連の措置によって […]

欧州委員会は14日、スウェーデンの大手電力会社スベンスカ・クラフトナット(SvK)に対する競争法上の調査を打ち切ると発表した。SvKが提示した近隣諸国との電力取引促進に向けた改善策について検討した結果、一連の措置によって効率的な資源配分が可能になり、最終的に電力料金の低減につながると判断した。SvKの公約はただちに法的拘束力を持ち、遵守義務を怠った場合は総売上高の最大10%に相当する制裁金が科されることになる。

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欧州委はSvKが送電市場における独占的地位を利用して、送電網の容量制約を理由に地域間の電力取引を制限し、公正な競争を阻害したとの見方を強めて2009年4月から調査を進めていた。

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これに対してSvKは、送電網の混雑状況を基に国内の送電市場をいくつかのゾーンに分割し、2011年11月1日までにこの区分に沿って送電容量を管理する新たなシステムを導入する方針を打ち出した。国内の送電網に混雑が生じた場合、現在は近隣諸国からの輸入電力を恣意的に削減して送電容量を調整しているが、新システムの導入により、市場価格に応じて電気の流れを送電容量に適合させることが可能になる。なお、ゾーン区分は電力潮流のパターンに応じて柔軟に変更される。

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さらに同社は、新システムが稼動するまでの暫定措置として、「カウンタートレード」と呼ばれる手法を用いて送電容量を調整する計画を併せて提案した。これは発電者または需要者に対価を支払って発電または電力消費のスケジュールを調整してもらう仕組みで、SvKは同措置により、送電網に混雑が生じた場合に国外からの輸入電力の削減幅を最小に抑えることができると説明している。

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欧州委はSvKの提案を受けて昨年10月から市場テストを実施し、一連の措置が市場に及ぼす影響を分析していた。アルムニア委員(競争政策担当)は声明で「スベンスカの提案は欧州における電力・ガスの安定確保に向けてエネルギー市場の統合がいかに重要かを示すものだ。欧州委は同社の公約を歓迎する」とコメントしている。

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