2010/5/3

産業・貿易

EPA交渉は来年以降に、作業部会が非関税障壁を検証

この記事の要約

日本とEUは4月28日に東京で定期首脳協議を開き、経済関係の包括的な強化および統合に向けたハイレベルの合同作業部会を設置することで合意した。ただ、経済連携協定(EPA)締結交渉に向けて日本側が提案していた「共同研究」に関 […]

日本とEUは4月28日に東京で定期首脳協議を開き、経済関係の包括的な強化および統合に向けたハイレベルの合同作業部会を設置することで合意した。ただ、経済連携協定(EPA)締結交渉に向けて日本側が提案していた「共同研究」に関しては、非関税障壁の撤廃をめぐる日本側の対応が不十分としてEUが難色を示したため、共同声明は「共同検討作業」を開始するとの文言にとどめ、交渉入りは来年以降に先送りされることになった。

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首脳協議にはEU側からファンロンパイ大統領と欧州委員会のバローゾ委員長が出席した。鳩山由紀夫首相は共同記者会見で、非関税障壁の撤廃に向けた取り組みについて「まず半年後に進捗状況を相互に評価し、次のステップに進むことを決めた」と説明。早期のEPA交渉入りに期待をにじませた。これに対しファンロンパイ大統領は、経済面の連携強化には「強い政治的意思」が必要であり、ハイレベル作業部会での協議が「官僚主義的なやり方」で進められてはならないと警告。さらにバローゾ委員長は、政府調達や医療機器の認証基準といった非関税障壁や、規制緩和などの領域での「明確な進展」がEPA交渉開始の条件になるとの考えを示した。

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日本はEUにとって6番目の貿易相手国だが、10年ほど前から貿易額は縮小傾向をたどっている。EUから日本への輸出は2000年の450億ユーロから09年は360億ユーロと20%減少。日本からの輸入も09年は2000年比39%減の560億ユーロにとどまっている。

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首脳協議ではこのほか、アフガニスタン復興支援やソマリア沖海賊対策、気候変動問題などで協力関係を強化することや、日本とEUが連携して世界経済の回復に向けた政策協調を推進する方針などを確認した。

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