2010/5/10

競争法

欧州委がエーオンへの調査打ち切り、ガス輸送網開放で制裁回避

この記事の要約

欧州委員会は4日、独エネルギー大手エーオンに対する競争法上の調査を打ち切ったと発表した。欧州委の警告を受けてエーオンが昨年12月にドイツ国内のガス輸送網を他社に開放する方針を打ち出したのを受けた措置。市場分析の結果、エー […]

欧州委員会は4日、独エネルギー大手エーオンに対する競争法上の調査を打ち切ったと発表した。欧州委の警告を受けてエーオンが昨年12月にドイツ国内のガス輸送網を他社に開放する方針を打ち出したのを受けた措置。市場分析の結果、エーオンの提案する改善策を通じて新規参入が容易になり、ドイツのガス市場における競争が促進されると判断した。エーオンの公約はただちに法的拘束力を持ち、遵守義務を怠った場合は年間売上高の最大10%に相当する制裁金が科されることになる。

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欧州委はEU域内の電力・ガス市場が自由化された2007年7月以降も多くの国で一部の企業による寡占状態が続いている点を問題視し、仏独などの主要エネルギー企業に対する本格調査を進めている。エーオンに関しては、ガス輸送部門と長期契約を結んで液化天然ガス(LNG)の受入基地を独占的に使用するなど、他社がガス輸送網にアクセスできないようにして新規参入を阻んでいると指摘。こうした商慣行はEU競争法が禁止する独占的地位の乱用にあたるとして同社に改善を求めていた。

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エーオンは欧州委との合意に基づき、今年10月までに複数の受入基地でパイプラインの許容量の15%相当を他社に開放し、15年10月以降はこの割合を子会社が保有・運営するパイプラインでは64%、他の大手ガス会社と共同で保有するパイプラインでは50%まで引き下げる。

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域内の大手ガス会社に対する競争法上の調査をめぐっては、これまでに仏GDFスエズや独RWEなど8社が市場開放に向けた是正策を打ち出し、欧州委の制裁を回避している。

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