2010/5/25

環境・通信・その他

家電製品と建築物の省エネ関連指令、欧州議会が改正案可決

この記事の要約

欧州議会は19日の本会議で、家電製品を対象とするエネルギー消費効率の表示ルールを定めた「エネルギーラベリング指令」の改正案を賛成多数で可決した。また18日には「建築物のエネルギー性能に関する指令」の改正案を賛成多数で可決 […]

欧州議会は19日の本会議で、家電製品を対象とするエネルギー消費効率の表示ルールを定めた「エネルギーラベリング指令」の改正案を賛成多数で可決した。また18日には「建築物のエネルギー性能に関する指令」の改正案を賛成多数で可決した。両法案をめぐっては、EU加盟国と欧州議会が昨年11月に開いた調停委員会で両法案の内容に基本合意しており、6月にも発効となる見通し。加盟国は発効から1年以内に新ルールに沿って国内法を整備することが義務付けられる。

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EUは温暖化対策の一環として2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を掲げており、目標達成に向けた政策の1つとして2008年から両指令の改正手続きを進めていた。

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エネルギーラベリング指令は環境対応型製品の普及を促すため、冷蔵庫、電子レンジ、食器洗い機、洗濯機といった家庭用のエネルギー消費型製品を対象に、エネルギー消費効率の表示を義務付けたもの。1992年に導入された現行制度では最も効率の高い「A(深緑)」~「G(赤)」までアルファベットと色による7段階の相対表示が用いられている。新システムでは既存の分類に加えて新たに「A+」「A++」「A+++」と3つの「超A」クラスが設けられる。ただし、今後も7段階の分類方法が維持され、たとえば最高ランクが「A+」の製品では最低ランクは「F」、最高ランクが「A+++」の製品では最低ランクは「D」となる。

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また新ルールでは家庭用機器に加え、業務用のエネルギー消費型製品(自動販売機、低温貯蔵庫、調理器具など)、それ自体はエネルギーを消費しないが、直接または間接的に省エネ効果を持つ製品(断熱材や窓枠などの建設資材)にもラベル表示が義務付けられる。このほか家電製品の広告、取扱説明書、パンフレットなどにエネルギー性能や価格に関する情報を盛り込む際、新システムに基づくエネルギー消費効率のランク表示を義務付けることも新ルールに盛り込まれた。

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一方、建築物のエネルギー性能に関する指令は冷暖房、給湯、照明をはじめとする建築物のエネルギー消費量を減らす目的で02年に制定された。現在はすべての新築建築物と床面積が1,000平方メートルを超える既存建物の大規模な改修に際し、国ごとに定められたエネルギー効率の基準を満たすことが義務付けられているが、新ルールは2020年末以降に新築されるすべての建物について、エネルギー消費をほぼゼロにすることや、使用するエネルギーの大半を再生可能エネルギーで賄うことを義務付けるという内容。公共施設については18年末から新ルールが適用される。一方、既存建築物に関しては、大規模改修時に最新の環境技術を取り入れた空調や照明システムなどの導入を促す一方、定期的に検査を実施して、各国が定める基準の達成を義務付けることが盛り込まれている。

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