2010/7/5

産業・貿易

銀行賞与に関する規制案、加盟国と欧州議会が合意

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会は6月30日に調停委員会を開き、域内で活動する銀行のボーナス(賞与)支給に関する規制の導入で合意した。幹部行員やトレーダーらに支払う賞与のうち現金支給の割合に上限を設けることや、賞与を中長期的な業績と […]

EU加盟国と欧州議会は6月30日に調停委員会を開き、域内で活動する銀行のボーナス(賞与)支給に関する規制の導入で合意した。幹部行員やトレーダーらに支払う賞与のうち現金支給の割合に上限を設けることや、賞与を中長期的な業績と連動させることなどを柱とする内容。欧州議会本会議での採決とEU財務相理事会の承認を経て、2011年1月の新ルール導入が見込まれる。

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EUは短期の業績に連動した高額報酬制度が銀行の過剰なリスク行動を助長し、金融危機が拡大する要因になったとの反省に立ち、過剰報酬を是正するための具体策として賞与支給に関する規制の導入を検討していた。規制案によると、賞与のうち現金による支給は最大30%に制限され、特に高額な場合は20%が上限となる。また、賞与全体の40-60%について3-5年間支払いを留保し、この間に業績が悪化した場合は賞与を回収できる仕組みが導入される。さらに賞与の一部を将来の損失に備えた分担金(contingent capital)と位置づけ、全体のうち少なくとも50%を自社株やその他の有価証券の形で支給することが盛り込まれている。

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一方、公的資金による救済支援を受けた銀行は、金融当局に対して賞与水準の正当性を証明するとともに、賞与が100万ユーロを超える行員の数を報告することが義務づけられる。このほか幹部行員に支給される多額の年金も規制の対象となる。EU各国の金融当局は規制の順守状況を監視し、高リスクの取引を助長するような報酬体系を改めていない銀行に対して制裁を課すことが求められる。

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EU加盟国との交渉にあたった欧州議会のアーリーン・マッカーシー議員は声明で「厳しい賞与制限を通じて金融業界のボーナス文化と過度のリスクテイクに終止符を打つことができる。世界的な金融危機の発生から2年が経過したが、この間に銀行は十分な改革を実現することができなかった。このためEUレベルでの規制が不可欠と判断した」とコメントしている。

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