2010/7/12

環境・通信・その他

産業施設の汚染物質排出を規制、欧州議会が法案可決

この記事の要約

欧州議会は7日の本会議で、EU域内の産業施設から排出される汚染物質を規制するための法案を賛成多数で採択した。産業活動に伴う有害ガスやばい塵をはじめとする汚染物質に新たな排出基準を設け、エネルギー、金属、化学、廃棄物処理な […]

欧州議会は7日の本会議で、EU域内の産業施設から排出される汚染物質を規制するための法案を賛成多数で採択した。産業活動に伴う有害ガスやばい塵をはじめとする汚染物質に新たな排出基準を設け、エネルギー、金属、化学、廃棄物処理など重工業分野の約5万2,000施設に規制を適用する。EU加盟国は法案の内容で基本合意しており、近く閣僚理事会で正式に承認される見通し。これを受けて加盟国が国内法を整備し、2016年から段階的に新ルールを導入する。

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産業施設から排出される汚染物質に対する規制は業種などによってルールが細分化されているため許認可の手続きが煩雑で、企業と監督当局の双方にとって大きな負担になっている。また、現行ルールにはさまざまな例外規定があり、多くの施設が厳しい規制を免れて操業しているのが実情。欧州委員会はこうした現状を踏まえ、20 07年12月に大気、水、土壌に対する汚染物質の排出を総合的に管理する「総合的汚染防止管理(IPPC)指令」(1996年制定)など7つのEU指令を統合したうえで、特定の業種や汚染物質について規制を強化するための新たな法案を打ち出した。

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新ルールは人体や動物、環境に影響を及ぼす硫黄酸化物、窒素酸化物、ばい塵、アスベスト、重金属などについて「利用可能な最善の技術(BAT)」を基に厳しい排出基準を設け、対象施設に対して16年までに基準値の順守を義務付けるという内容。重工業分野の施設に加え、大規模な養豚場や養鶏場なども規制の対象となる。各国当局はBATの導入状況などを考慮して、化石燃料を使用する火力発電所や石油精製所など大規模燃焼施設について最大4年の移行期間を設けることができる。ただし、その場合は段階的実施計画を策定して事前に欧州委の承認を得なければならない。また、新たに建設される燃焼施設に関しては、12年末までに排出基準を満たすことが義務付けられる。一方、古い産業施設に関しては、2023年までに操業を停止するか、16年以降の稼働時間が1万7,500時間に達した段階で規制対象から除外される。

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