2010/7/19

環境・通信・その他

「温室効果ガス削減目標を30%に」、英独仏がEUに見直し提言

この記事の要約

英独仏の温暖化対策担当相は15日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などへの寄稿で、EUは2020年を達成期限とする温室効果ガス排出量の削減目標を1990年比20%から30%に引き上げるべきだとの見解を表明した。EU […]

英独仏の温暖化対策担当相は15日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)などへの寄稿で、EUは2020年を達成期限とする温室効果ガス排出量の削減目標を1990年比20%から30%に引き上げるべきだとの見解を表明した。EUは米国や中国など他の主要排出国が相応の取り組みを約束することを条件に、20年までの削減目標を30 %に引き上げる方針を打ち出しているが、EU主要3カ国の担当閣僚は「20%の削減では低炭素社会への移行を促すには不十分」と指摘し、環境分野の競争でEUが優位に立つためにも目標を高く設定する必要があると強調している。

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提言をまとめたのはヒューン英エネルギー・気候変動相、レットゲン独環境相、ボルロー仏エコロジー・エネルギー・持続可能な開発・国土整備相の3人。寄稿はFT紙のほか、独フランクフルター・アルゲマイネ、仏ルモンドの3紙に掲載された。

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3氏はまず、中国や日本、米国は低炭素技術への投資を促すためにさまざまな環境整備を進めており、「EUが20%の目標に固執し続ければ低炭素社会での競争に敗北する」と警告。削減目標を30%に引き上げることで市場に確実性と予測可能性が生まれ、低炭素技術への投資が促進されて環境分野の雇用拡大につながると主張している。

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欧州委員会が5月にまとめた20年までの中期目標を達成するためのコスト分析によると、経済危機に伴う生産活動の停滞で昨年は温室効果ガス排出量が予想を大幅に下回ったことから、90年比20%削減にかかる費用は当初予想の年間700ユーロから480億ユーロに縮小。一方、削減目標を30%に引き上げた場合の費用は年間810億ユーロと試算している。3氏は欧州委の分析を引用し、20%削減に必要な費用の当初予想に110億ユーロを上乗せしただけで30%の削減が可能になると指摘。EU内ではポーランドなど旧東欧諸国が経済成長の足かせになるとして温暖化対策に消極的な姿勢を示しているが、英独仏は早期に高い削減目標を設定して低炭素社会への移行を促すことでEUは環境分野で再び主導権を握ることができ、最終的に域内企業の競争力強化につながると強調している。

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