2010/7/26

産業・貿易

スペインが公共投資を64億ユーロ削減、向こう2年で計画の2割を中止・延期

この記事の要約

スペイン政府は22日、財政赤字削減に向けた緊縮財政措置の一環として、向こう2年間に実施する予定の公共事業のうち、約20%に当たる231のプロジェクトを中止または延期すると発表した。現時点で計画が認可されている1,116件 […]

スペイン政府は22日、財政赤字削減に向けた緊縮財政措置の一環として、向こう2年間に実施する予定の公共事業のうち、約20%に当たる231のプロジェクトを中止または延期すると発表した。現時点で計画が認可されている1,116件の公共事業うち、199のプロジェクトは実施が最大4年延期され、残る32件は中止または計画が全面的に見直される。

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スペインは不動産バブルの崩壊などで2009年の財政赤字が国内総生産(GDP)比で11.2%まで拡大。政府は11年までに財政赤字を6.0%以内に引き下げる目標を掲げ、今後2年間で150億ユーロの歳出削減を達成するため、公務員の賃金カットや年金支給額の引き上げ延期などを打ち出している。公共投資の削減も過剰な財政赤字を是正する取り組みの一環で、スペイン北部で計画されている道路や鉄道建設などを中心に、多数のプロジェクトが中止または延期を余議なくされる。ブランコ公共事業相は議会で演説し、財政健全化に向けて公共投資を向こう2年間で当初の計画より64億ユーロ抑える必要があると強調した。

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スペインでは不動産バブルの崩壊や世界的な経済危機の影響で失業者が420万人に達し、14年ぶりの高水準となっている。建設・不動産業界でも中小の開発業者や建設会社が相次いで倒産に追い込まれ、失業者は約100万人に上るとみられる。市場では今回の公共投資削減に伴い、新たに10万人以上が職を失うとの見方が出ており、労組側は政府の決定に強く反発している。

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