2010/9/6

総合 –EUウオッチャー

欧州委員が中東和平めぐり「反ユダヤ的」発言、ドイツ連銀理事に続く失言が波紋

この記事の要約

イスラエルとパレスチナによる直接和平交渉の再開をめぐり、欧州委員会のデフフト委員(通商担当)が反ユダヤ的な発言をしたとして波紋を呼んでいる。パリに本部を置く欧州ユダヤ人会議は3日、同委員に発言の撤回と謝罪を求める声明を発 […]

イスラエルとパレスチナによる直接和平交渉の再開をめぐり、欧州委員会のデフフト委員(通商担当)が反ユダヤ的な発言をしたとして波紋を呼んでいる。パリに本部を置く欧州ユダヤ人会議は3日、同委員に発言の撤回と謝罪を求める声明を発表した。欧州委はこれに対し、今回の発言は同委員の個人的な見解であるとして、和平交渉を強く支持するEUの立場を強調しているが、EU内ではドイツ連邦銀行の理事がユダヤ人に対する差別的発言で解任が決定的となっており、高官の相次ぐ失言が外交問題に発展する可能性もある。

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デフフト委員はベルギーの元外相。問題となっているのは2日に放送された地元ラジオ局VRTとのインタビューで、同委員が中東和平交渉について発言した内容。同委員は「ネタニヤフ首相の周辺には和平が実現不可能と考えている人たちもいる。(和平交渉を仲介している)米国でロビー活動を展開するユダヤ人の力を過小評価してはならない。相手がたとえ穏健派のユダヤ人であっても中東情勢について理性的に議論できるとは考えにくい」などと語った。

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欧州ユダヤ人会議のカンター議長はこれを受け、「欧州の高官から再び反ユダヤ的な発言が聞こえてきた。EU内でのユダヤ人に対する誹謗中傷のレベルは許容の限界に達している。より寛容な欧州社会を望むすべての人々にとって由々しき事態だ」との声明を発表。デフフト委員に発言の全面的な撤回と謝罪を要求した。これに対し、欧州委の報道官は会見で「デフフト委員の発言は個人的な見解であり、イスラエルとパレスチナの直接和平交渉に対する欧州委員会および欧州理事会の立場を代表したものではない」とコメント。デフフト委員は「自分の発言が意図しない方向に解釈されたことは残念だ。ユダヤ人社会を攻撃したり非難する意図はまったくなかった。反ユダヤ主義は根本的に欧州の価値観に反するという点を明確にしておきたい」と釈明した。

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