2010/9/27

産業・貿易

IT関税めぐる通商紛争、EUの敗訴確定

この記事の要約

EUは21日、IT(情報技術)機器への関税をめぐる日本、米国、台湾との通商紛争で、日米側の主張を支持した世界貿易機関(WTO)の裁定を受け入れ、上訴しないことを明らかにした。これによりEUは敗訴が確定し、情報技術協定(I […]

EUは21日、IT(情報技術)機器への関税をめぐる日本、米国、台湾との通商紛争で、日米側の主張を支持した世界貿易機関(WTO)の裁定を受け入れ、上訴しないことを明らかにした。これによりEUは敗訴が確定し、情報技術協定(ITA)違反と認定されたプリンター複合機などへの関税を撤廃することになる。

\

1996年締結のITAでは、IT関連機器の関税を撤廃することを定めている。しかし、EUは協定発効後に登場した◇ファクス、コピー、スキャナーの機能を備えたプリンター複合機◇有料テレビ視聴用のセットトップボックス◇パソコン用液晶モニター―の多機能3品目に関しては、適用対象外として高率の関税を課している。最新型のパソコン用モニターがDVDプレーヤーとしても使われるなど、一般家電に分類されるという言い分だ。これに対して日、米、台湾は、3品目もIT機器であり、関税撤廃が適用されるべきだとして反発し、2008年にWTOに提訴。WTの紛争処理小委員会(パネル)は8月、日米側の主張を支持する報告書を公表していた。

\

欧州委員会の報道官は21日の記者会見で、パネルの裁定には不服な面もあるとしながらも「EUは上訴するよりも、(関税撤廃の)履行に向けた努力に集中するのが望ましいと判断した」と発言。ただ、即時の関税撤廃よりも、ITAそのものの見直しを関係国と協議し、無関税品目を拡大する方向で問題の決着を図りたい考えを示した。

\