2010/10/25

総合 –EUウオッチャー

EU加盟国、財政規律違反への制裁強化策で合意

この記事の要約

EU加盟国の財務相は18日、EUの財政規律を定めた安定成長協定に違反した国への制裁強化策で基本合意した。ギリシャ危機の再発防止策の一環で、これまで実施されたことがない違反国への制裁を発動しやすくする。28、29日の首脳会 […]

EU加盟国の財務相は18日、EUの財政規律を定めた安定成長協定に違反した国への制裁強化策で基本合意した。ギリシャ危機の再発防止策の一環で、これまで実施されたことがない違反国への制裁を発動しやすくする。28、29日の首脳会議で最終決定され、欧州議会の承認を得れば2011年に新ルールを導入する。

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安定成長協定では、EU加盟国に財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることを義務付けており、すでに制裁規定もあるが、これまで発動されたことはない。こうしたルールを厳格に適用しない姿勢がギリシャなどの放漫財政を招いたという反省を踏まえ、EUは制裁強化を決定。ファンロンパイEU大統領を座長とする作業部会と欧州委が連携して具体案をまとめた。

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今回合意した案では、赤字がGDP比3%を実際に超えなくても、規律違反が確実と判断された時点で制裁手続きに入ることが可能となる。手続きは(1)当該国が規律に違反しているかどうかを加盟国が多数決で決める(2)違反と認定された場合、欧州委が制裁発動を勧告(3)加盟国が多数決で反対しない限り、制裁を発動――というステップを踏む。欧州委が9月末に発表した原案では(1)はなく、欧州委が違反かどうかを判断することになっていたが、ほぼ自動的な制裁発動に批判的なフランスに譲歩し、新たに付け加えた。それでも現行ルールと比べて制裁が発動されやすい環境が整う。

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同案の実施はユーロ導入後初の抜本的な安定成長協定の改革となる。ファンロンパイ大統領は「経済ガバナンスに向けた偉大な一歩だ」と宣言した。

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