2010/10/25

総合 –EUウオッチャー

産休延長法案が欧州議会で可決、経済界などの反発で修正必至

この記事の要約

欧州議会は20日開いた本会議で、EUで女性労働者に与えられる有給出産休暇の期間を延長する法案を賛成多数で可決した。現在の最低14週間から20週間に延長する。さらに、新たに最低2週間の「父親休暇」も導入する。欧州委員会の原 […]

欧州議会は20日開いた本会議で、EUで女性労働者に与えられる有給出産休暇の期間を延長する法案を賛成多数で可決した。現在の最低14週間から20週間に延長する。さらに、新たに最低2週間の「父親休暇」も導入する。欧州委員会の原案と比べて、労働者の権利を一層拡大する内容となっており、経済界が反発しているほか、財政悪化で歳出引き締めに動いている加盟国の多くが受け入れを拒否するのは必至で、法案は見直しを迫られる可能性が高い。

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EUが1992年に採択した「妊娠中または最近出産した労働者の安全及び健康の改善を促進するための指令」では、域内の女性労働者は産前・産後に連続する14週間の出産休暇を取得する権利を有する。欧州委がまとめた指令改正案は、国際労働機関(ILO)の勧告に基づいて法定産休期間を最低18週間とし、休暇中の全期間にわたって賃金の100%支給を義務付けるという内容。

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これに対して、欧州議会が採択した修正案では、産休期間を20週間に延長し、全期間にわたり賃金の100%を支給することを義務付けるほか、法定産休期間中に男性労働者に対して最低2週間の休暇を保証する。

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この修正案に対しては、コスト負担が大きく膨らむ経済界が、企業が女性の雇用を控えるようになるという逆効果を招くとして反発。また、ドイツなど加盟国の多くも難色を示している。今回の修正案は欧州委と加盟国の承認が必要となるが、欧州委のレディング委員(司法担当)は「我々は母親の権利保護と、EUのビジネス界が直面する経済的現実との適切なバランスを保たねばならない」と述べ、再修正に向けた調整に乗り出す意向を表明した。

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