2010/11/15

総合 –EUウオッチャー

欧州委、モンテネグロの加盟候補国認定を勧告

この記事の要約

欧州委員会は9日発表したEU拡大に関する年次報告書で、モンテネグロを加盟候補国として認定することを勧告した。同国はEU加盟国による承認を経て、正式に加盟候補国となる見通しで、悲願のEU加盟に向けて大きく前進した。\ 20 […]

欧州委員会は9日発表したEU拡大に関する年次報告書で、モンテネグロを加盟候補国として認定することを勧告した。同国はEU加盟国による承認を経て、正式に加盟候補国となる見通しで、悲願のEU加盟に向けて大きく前進した。

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2006年にセルビアとの国家連合を解消して独立したモンテネグロは、翌年に加盟の前段階となる「安定化・連合協定(SAA)」に調印するなど順調にEU入りの手続きを進め、2008年12月に加盟を正式申請していた。欧州委はモンテネグロが加盟に向けた国内改革の進展を評価し、加盟候補国となる資格を得たと判断した。ただ、加盟交渉開始に関しては、法治面の改革、とくに汚職・組織犯罪対策の遅れを問題視し、決定を先送りした。

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EUは現在、クロアチア、トルコ、アイスランドと加盟交渉を行っており、モンテネグロのほかセルビア、マケドニア、アルバニアが加盟を申請済みだ。

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加盟交渉を行っている3カ国で最も交渉が進んでいるのはクロアチア。35に上る交渉項目のうち25項目が完了しており、政府は2011年内の交渉完了を目指している。欧州委は今回の報告書で、交渉が「最終段階に入った」としながらも、司法、基本的人権などの分野での改革が不十分と指摘し、交渉完了や加盟の具体的な時期について明示することは避けた。

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トルコに関しては、同国がEUとの関税同盟を新規加盟国に拡大適用する協定に2005年に調印したにもかかわらず、国家承認していないキプロスへの適用を拒否し、キプロス籍の航空機と船舶の国内寄港を認めていない問題が加盟交渉完了に向けた最大の障害となっている点に改めて言及し、同問題での対応を促すにとどまった。

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一方、加盟候補国ではマケドニアが2005年に候補国認定を受けながらも、加盟交渉開始で足踏みしている。国名をめぐって対立するギリシャが交渉開始を阻止しているためだ。欧州委は昨年の報告書で、加盟交渉開始を勧告したが、ギリシャの拒否権発動で実現に至っていない。今回の報告書でも改めて交渉開始を勧告したが、国名問題を解決しない限り、前進できない状況にある。

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