2010/11/29

産業・貿易

炭鉱補助金は18年まで存続へ、欧州議会が4年延期の対案可決

この記事の要約

欧州議会は23日の本会議で、EU域内の炭鉱への補助金交付を2018年末まで認める法案を賛成多数で可決した。欧州委員会は7月、2010年以降は炭鉱の運営費用を補てんするための補助金を禁止し、収益の悪化している炭鉱を14年1 […]

欧州議会は23日の本会議で、EU域内の炭鉱への補助金交付を2018年末まで認める法案を賛成多数で可決した。欧州委員会は7月、2010年以降は炭鉱の運営費用を補てんするための補助金を禁止し、収益の悪化している炭鉱を14年10月までに閉鎖するよう加盟国に求める方針を打ち出したが、国内に多くの炭鉱を抱えるドイツなどが猛反発。18年までの延期を求めて欧州議会への働きかけを強めていた。法案は12月10日の産業相理事会で協議される。欧州議会の決議に法的拘束力はないが、賛成465、反対159と大差で可決されたことから、最終的に閉鎖期限が14年以降に延期される公算が大きい。

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EU内では10万人程度が炭鉱や関連施設で働いており、ドイツのルール地方をはじめ、スペイン北西部、ルーマニア西部ジウ渓谷などの炭鉱に毎年30億ユーロを超える補助金が投じられている。しかし、競争力を失った炭鉱への多額の補助金は加盟国にとって大きな負担になっているうえ、環境面からも低炭素社会への移行を促すうえで二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電を減らす必要に迫られている。このため欧州委は補助金制度を定めた現行規則が今年末に失効するのを機に、ドイツなどに対して自力での運営が困難な炭鉱への補助金を段階的に廃止し、14年10月までに閉鎖するよう求めていた。

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本会議で可決された法案はドイツ選出の議員がまとめたもので、補助金廃止および炭鉱閉鎖の期限延期に加え、設備の撤去や労働者の再就職支援など閉鎖準備を支援するため、加盟国が一時的に補助金を増額することを認める条項などが盛り込まれている。欧州議会は声明で、14年までの炭鉱閉鎖を求める欧州委の提案は「独断的」で雇用情勢に深刻な影響を及ぼすと批判。そのうえで、最終的に競争力を回復することができず、域内におけるエネルギー需要の面からも存続の必要がないと判断された炭鉱は、計画に沿って閉鎖されるべきだと指摘している。

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