2010/12/13

産業・貿易

欧州委が金融・商品取引の規制強化発表、現行指令の全面改革推進

この記事の要約

欧州委員会は8日、金融商品市場指令(MiFID)の全面的な改革の一環として、金融取引や商品取引の規制を強化する一連の方針を明らかにした。EU規則に違反した金融機関に対する制裁の域内での統合・強化を進めるほか、商品取引をは […]

欧州委員会は8日、金融商品市場指令(MiFID)の全面的な改革の一環として、金融取引や商品取引の規制を強化する一連の方針を明らかにした。EU規則に違反した金融機関に対する制裁の域内での統合・強化を進めるほか、商品取引をはじめとした投機的取引およびエネルギー卸売市場での投機的取引を制限する。諮問を通じて具体的な内容を詰める予定で、2012年には法制化を目指している。

\

金融サービスでの制裁については加盟各国で対応にばらつきがあり効果が徹底されていないため、域内で制裁の内容を収斂させるとともに強化する。そのため域内で共通の最低基準を設定し、これには刑事罰や民事罰を含む制裁の種類や制裁の水準、違反した金融機関と個人の両方に対する制裁などを盛り込む。

\

投機的取引の規制では、既存の規則を拡大するとともに市場の透明性を強化する。取引業者に債券やデリバティブの売買に関する情報公開を義務付けるとともにコンピューターを駆使した高速で超短期の取引を制限し、食料など商品に対する投機的取引を抑える。諮問では既存の規制で対象となっていない投資活動に絡むリスクを回避するため、あらゆる投資サービスや投資活動を適切に規制する枠組みの策定が焦点になるという。

\

また、消費者や企業が負担する電力・ガスの小売価格はエネルギー卸売市場と連動しているため、卸売市場の投機的取引を抑えることで小売価格の安定を狙う。このためにエネルギー大手をはじめ取引業者のインサイダー取引を禁じ、エネルギーの供給・需要あるいは価格について人為的に価格を釣り上げるような虚偽の情報や信号を市場に与えることも認めない。これにより現在のMiFIDでは不十分なエネルギー市場の取引規制を整備する。

\