2010/12/13

環境・通信・その他

欧州委が携帯ローミング料金の規制強化検討、来年6月に具体策提示へ

この記事の要約

欧州委員会は8日、国外で携帯電話を使用する際のローミング料金に関する規制の見直しに向けた意見募集を開始した。EUでは2007年に初めて携帯ローミングの料金規制が導入され、音声通話やデータ通信にかかる料金が段階的に引き下げ […]

欧州委員会は8日、国外で携帯電話を使用する際のローミング料金に関する規制の見直しに向けた意見募集を開始した。EUでは2007年に初めて携帯ローミングの料金規制が導入され、音声通話やデータ通信にかかる料金が段階的に引き下げられているが、実際には事業者の多くが規制の上限に近い料金を設定しており、依然としてローミングサービスから莫大な利益を得ている。欧州委はこうした現状を踏まえ、来年2月11日まで各方面から広く意見を募り、6月末までに携帯ローミング市場で競争を促進して単一市場を実現するための具体策をまとめる。

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EUは今年5月にまとめた情報通信技術(ICT)分野の新戦略「デジタルアジェンダ」で、2015年までに域内の他の国で携帯電話を使用する際の料金水準を国内料金と同等にするという目標を掲げている。欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は声明で「EU単一市場で国内料金とローミング料金の間に大きな格差があってはならない」と強調。現行ルールを見直して、消費者と事業者双方の利益を保護しながらローミング市場で競争を促進するための具体策を検討する意向を示している。

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EUでは07年に「携帯電話のローミングに関する規則」が制定され、他のEU諸国で通話する際の料金は以前に比べて約60%引き下げられた。さらに欧州委は音声通話以外の料金規制に乗り出し、09年には国外でショートメッセージサービス(SMS)を利用したり、データ通信にかかる料金に上限を設ける新たな規制が導入された。現在、国外での通話料金は発信時で1分当たり最大0.39ユーロ、着信時で最大0.15ユーロに制限されている。また、国外からテキストメッセージを送信する際の料金は1分当たり0.11ユーロ、携帯電話を使って国外で動画や音楽をダウンロードしたり、ウェブサイトを閲覧する際のホールセール料金は1メガバイト当たり0.8ユーロが上限となっている。

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このほか消費者保護の観点から、動画コンテンツなどの大量ダウンロードによって請求額が天文学的な数字に膨らむ事態を防ぐため、今年7月からユーザーが事前に申請しない限り、1カ月のデータ通信料が50ユーロに達した時点でサービスを停止するシステムが導入された。事業者はデータ通信料が上限の80%に達した段階でユーザーに警告文を送り、上限に達した時点で引き続きサービスを利用するための手続きなどを通告。ユーザーから継続の意思表示がない場合はサービスを停止することが義務付けられている。

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