2010/12/20

産業・貿易

「単一ユーロ決済地域」への移行期限設定、導入遅延で欧州委が提案

この記事の要約

欧州委員会は16日、欧州内でのユーロ建て小口決済を国内決済と同様に行うことができる「単一ユーロ決済地域(SEPA)」への移行を促すため、移行期限を設けて各国の金融機関に実施を義務付ける内容の規則案を発表した。ユーロ建ての […]

欧州委員会は16日、欧州内でのユーロ建て小口決済を国内決済と同様に行うことができる「単一ユーロ決済地域(SEPA)」への移行を促すため、移行期限を設けて各国の金融機関に実施を義務付ける内容の規則案を発表した。ユーロ建ての口座振込は新規則の発効から12カ月後、口座引落しについては24カ月後をEU共通の移行期限とすることを提案している。欧州委は早期の完全移行を実現するため、来年半ばまでにEU加盟国と欧州議会の承認を得たい考えだ。

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SEPAはEU加盟国にアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス、モナコを加えた32カ国における小口決済のインフラを統合し、ユーロ建ての口座振込、口座引落し、カード決済について、国内外の区別なく、すべて同じ条件で決済できるようにするためのスキーム。口座振込は2008年初め、口座引落しは2009年末からSE PAが導入されており、銀行業界はこれら2種類のサービスについて、2010年末までに導入を完了するという目標を掲げている。SEPAの導入によって域内では海外送金の扱いがなくなるため、送金手続きを行った翌営業日には受取人の口座に資金が入金されるようになり、手数料も大幅に引き下げられる。さらに国ごとに異なる決済ルールが統一されることで、同一条件による競争が促進され、決済サービスの質向上につながると期待されている。

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ただ、現在は任意ベースでの導入にとどまるため、既存の決済システムからSEPAへの移行は予定より大幅に遅れているのが実情。欧州中央銀行(ECB)がまとめたSEPAの導入状況に関する最新の報告書によると、同スキームを通じた口座振込は今年10月時点でユーロ圏全体の9.6%にとどまっており、ECBは「当初期待された成果が現れていない」と指摘している。

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