2011/1/10

環境・通信・その他

14カ国が国際離婚の共通ルール導入、初の「先行統合」実施が正式決定

この記事の要約

EUで国際結婚した夫婦が離婚する際の法的手続きに関するルールが、独仏など14カ国で先行実施されることが正式決定した。これにより、国籍の異なる夫婦が離婚する場合、どの国の法律を適用して手続きを進めるかについて、14カ国では […]

EUで国際結婚した夫婦が離婚する際の法的手続きに関するルールが、独仏など14カ国で先行実施されることが正式決定した。これにより、国籍の異なる夫婦が離婚する場合、どの国の法律を適用して手続きを進めるかについて、14カ国では夫婦が合意の上で選べるようになる。新ルールは2012年半ばから適用される。

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新ルールはEUの異なる国籍を持つ夫婦で、しかもEU内の異なる国に別居しているか、2人の本国以外の別の国で一緒に暮らしているケースでの離婚が対象。EUでは現在こうした国際離婚ついて、どの国の法律を適用するかに関して共通ルールがなく、混乱が生じている。例えば、英国に住むアイルランド人の夫とフィンランド人の妻が離婚する場合、アイルランドで離婚を申請すれば、4年の別居期間を設けた上で初めて離婚が認められる一方、フィンランドでは6カ月で離婚が成立する。英国で申請すると、財産分与などについて妻の側が有利となる。このため、配偶者の一方が相手を出し抜き、自分に有利な国でいち早く申請するといったケースも相次いでいる。

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こうした問題を解消するため、欧州委は2006年に法案を発表したが、これを強く支持する国がある一方で、スウェーデンなど反対する国が多く調整が難航。このため、EU内のルール統一について加盟国の見解が分かれた場合でも、賛同する有志国が9カ国以上集まれば、それらの国だけでルールを「先行統合」することを認めるとするEU基本条約の条項を活用することにした。

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有志国として国際離婚の新ルールを導入するのは、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルク、ポルトガル、マルタ、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロベニア、ラトビアの14カ国。加盟国は12月20日の閣僚理事会で、これらの国々による先行統合を最終承認した。

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新ルールでは、イタリアに住んでいる夫がフランス人、妻がスペイン人の夫婦が離婚する場合、夫婦はイタリアの裁判所に対して、フランス、スペインのうち2人で合意した国の法律に従って手続きを進めるよう求めることができる。合意できない場合は、イタリアの裁判所がどの国の法律を適用するかを決める。この場合の判断基準には(1)夫婦が一緒に暮らしている国の法律(2)現在一緒に暮らしていない場合は、最も近い過去において一緒に暮らしていた国の法律――という優先順位があり、この夫婦のケースではイタリアの法律に基づいて離婚手続きが進められることになる。

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EUの新基本条約である「リスボン条約」が発効してから、一部の加盟国による先行統合が正式に決まったのは初めて。このほか、EU共通の単一特許制度をめぐり、独仏など10カ国が先行統合する方向で調整が行われている。

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