2011/1/10

環境・通信・その他

EUの排出権取引をスイスと連結へ、欧州委が11年初めに交渉開始

この記事の要約

EU加盟国は先ごろ開いた環境相理事会で、EUとスイスの温室効果ガス排出量取引制度(ETS)を連結させるため、欧州委員会に交渉権限を付与することで合意した。EUの排出量取引制度(EU-ETS)にはノルウェーなど域外3カ国が […]

EU加盟国は先ごろ開いた環境相理事会で、EUとスイスの温室効果ガス排出量取引制度(ETS)を連結させるため、欧州委員会に交渉権限を付与することで合意した。EUの排出量取引制度(EU-ETS)にはノルウェーなど域外3カ国が欧州経済領域(EEA)協定の枠組みで参加しているが、第3国による既存の国内排出量取引制度とEU -ETSを連結する試みは初めて。実現には欧州議会およびEU加盟国による正式承認と、スイス国内での承認手続きが必要となる。欧州委は2011年初めにスイス政府との間でETSの連結に向けた交渉を開始し、国際的な炭素市場の構築に向けて早期の妥結を目指す。

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EU-ETSは現在、EU加盟国にノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドを加えた計30カ国の1万カ所を超えるエネルギー・工業施設を対象に運用されており、域内における二酸化炭素(CO2)の年間排出量の約半分が同スキームでカバーされている。12年1月からはEU域内を発着するすべての航空機が新たに規制の対象となるほか、13年以降の第3期間ではCO2排出枠を無償で割り当てる現行システムに代わり、入札で排出枠の購入を義務付けるオークション方式が導入されることになっている。

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一方、スイスでは08年から国内排出量取引制度が運用されているが、企業には炭素税を支払うか、ETSの下で排出削減を達成するかの選択肢が与えられており、現在のところETSの参加企業は約400社にとどまっている。スイス政府がまとめた09年の統計によると、国内におけるCO2の年間排出量(約5,200万トン)のうち、ETS対象施設からの排出量が占める割合は6.5%となっている。

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