2011/1/17

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、物価急上昇も利上げ見送り

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は13日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年1.0%に据え置くことを決めた。ユーロ圏のインフレ率は許容水準を超えているが、景気の先行きがなお不透明なことから […]

欧州中央銀行(ECB)は13日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年1.0%に据え置くことを決めた。ユーロ圏のインフレ率は許容水準を超えているが、景気の先行きがなお不透明なことから、利上げを見送った。金利据え置きは20カ月連続。

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ユーロ圏のインフレ率は12月に2.2%に達し、ECBが上限目標値とする2%を約2年ぶりに突破した。これについてECBのトリシェ総裁は、理事会後の記者会見で「主にエネルギー価格の上昇により、短期的なインフレ圧力がある」と述べ、「物価動向を非常に注意深く見守る」とコメント。しかし、物価上昇は一時的なもので、インフレ率は年末にかけて適正水準まで低下するとの見通しを示した。

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トリシェ総裁はユーロ圏の景気動向に関して、「不透明感が強まっており、下振れ傾向にある」と指摘。一方、ECBが米サブプライムローン問題を受けて金融市場が混乱していた2008年7月にインフレ抑制のため利上げに踏み切ったことに言及し、「金利を動かさない保証はない」と述べ、必要に応じて利上げを実施する構えを強調した。ただ、市場ではユーロ圏の信用不安が解消されていないことから、ECBが当面は現行金利を維持し、利上げは早くても10月以降になるとの見方が多いようだ。

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