2011/1/24

産業・貿易

医療サービスも市場統合、欧州議会が法案可決

この記事の要約

欧州議会は19日の本会議で、EU市民が自国の国民健康保険制度を利用して他の加盟国でも自由に医療サービスを受けられるようにする法案を可決した。法案はなお加盟国による承認が必要となるが、成立は確実な状況。加盟国は法案成立から […]

欧州議会は19日の本会議で、EU市民が自国の国民健康保険制度を利用して他の加盟国でも自由に医療サービスを受けられるようにする法案を可決した。法案はなお加盟国による承認が必要となるが、成立は確実な状況。加盟国は法案成立から2年半以内に必要な国内法の改正を終え、新ルールを実施する態勢を整えることを求められる。これによりEUの市場統合が医療サービスにも及ぶことになる。

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医療サービス分野における単一市場の構想は、自国で不当に長い「待ち時間」を強いられるケースなどを減らし、すべてのEU市民が同じ条件で質の高い医療サービスを受けられるようにするのが狙い。EU市民には域内のどこでも自由に医療サービスを受ける権利が保障されており、その費用は患者の母国の保険でカバーされなければならないとした欧州司法裁判所の判決が基礎になっている。

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現行制度では旅行中などに域内の他の国で緊急治療を受けた場合は保険が適用されるが、新ルールの導入後は急を要さない治療に関しても、事前に保健当局などの許可を取らずにいつでも国外でサービスを受けることが可能になる。ただ、そうしたケースでは患者がいったん費用を全額負担し、帰国後に自国で同じ治療や診察を受けた場合と同額の払い戻しを受けることになる。

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一方、自国で認可されていない医療行為には保険が適用されない。さらに医療水準の高い国や、医療サービスが整備されている国などに患者が殺到する事態を防ぐため、入院を伴う治療に関しては引き続き当局の許可が必要となる。

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