2011/2/7

環境・通信・その他

航空旅客データの提供を義務付け、欧州委が指令案提示

この記事の要約

欧州委員会は2日、EUと域外を結ぶ航空便を利用する乗客のデータを加盟各国の当局に提供することを航空会社に義務付けるEU乗客名簿記録(PNR)指令案を提示した。テロを防ぐとともに麻薬密輸や人身売買など重大な犯罪の取り締まり […]

欧州委員会は2日、EUと域外を結ぶ航空便を利用する乗客のデータを加盟各国の当局に提供することを航空会社に義務付けるEU乗客名簿記録(PNR)指令案を提示した。テロを防ぐとともに麻薬密輸や人身売買など重大な犯罪の取り締まりに活用するのが狙い。ただし統一ルールを設けて、プライバシーや個人データの保護を保証するという。

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指令案によれば、航空会社は予約システムの国際旅客データを加盟各国が新たに設ける専門機関に提供する。各国はこのデータを重大犯罪やテロの防止、捜査、起訴の目的のため分析し保持する。それ以外の目的で使うことを認めないとともにプライバシーや個人データを厳格に保護する。

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また各国の専門機関はデータを1カ月だけ保存した後に匿名化し、5年以上の保存を禁じる。人種や民族、政治的見解、信教などが明らかになるようなデータの航空会社からの提供も認めない。また加盟各国はデータ提供を要請できるものの、航空会社のデータベースにはアクセスできないようにする。

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英国など一部の国は域内の航空便にもPNRシステムの適用を求めていたものの、航空会社が負担する費用が3倍に膨らむことなどから域外を結ぶ航空便に限定することになった。ただ、欧州議会は米国との同様なデータ共有についても欧州委に対して再交渉を求めており、指令案の採択は難航することが見込まれている。

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