2011/2/7

環境・通信・その他

プレミアリーグ視聴料の国別格差は違法、欧州裁法務官が見解表明

この記事の要約

欧州司法裁判所は3日、サッカーの英プレミアリーグのテレビ観戦で加盟国によって視聴料金が異なるのは、サービス提供の自由というEUの原則に違反とする法務官の見解を明らかにした。これは英国のパブがギリシャからデコーダーを入手し […]

欧州司法裁判所は3日、サッカーの英プレミアリーグのテレビ観戦で加盟国によって視聴料金が異なるのは、サービス提供の自由というEUの原則に違反とする法務官の見解を明らかにした。これは英国のパブがギリシャからデコーダーを入手して安く視聴しているのに対してプレミアリーグが英国内の裁判所に提訴し、同裁判所が欧州司法裁判所に判断を求めていたもの。数カ月以内に判決が下される見込みだが、欧州司法裁判所は法務官の意見に沿った判断を示すことが多く、プレミアリーグの料金体系が違反とされる公算が大きい。

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英国でプレミアリーグの実況中継を視聴するには、衛星放送会社BスカイBのボックスを49ポンドで買い取り設置に30ポンドを支払い、最も安い視聴料でも月39.75ポンドだが、さらに放映権を持つスポーツ専門局のESPNにも9ポンドを支払う必要がある。ところがギリシャの衛星放送サービス会社ノバは、プレミアリーグのほかチャンピオンリーグや欧州リーグも含めて月に52.2ユーロ(44.1ポンド)だけで提供している。

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このためギリシャなどのデコーダーで安く視聴できるようにデコーダーを域外の他国に輸出する企業もある。これに対抗してプレミアリーグは放送区域以外での視聴をできないようにするため、放送局に信号の暗号化を迫っている。プレミアリーグは英国内の3年間の放送権料だけでも17億8,200万ポンドを確保しており、世界でも破格の放送権料を受け取っている。

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法務官は、各国別に放送権を販売して料金に格差をつけるのは「EUのルールに対するあからさまな違反」と指摘し、サービス提供の自由にとって深刻な障害になると主張。同じ試合を視聴するのに国によって料金を変える理由はないと断じしている。これに対してプレミアリーグは「EUの判例に適合させる内容ではなく、EU内の放送局や視聴者の利益を損なうことになる」と主張している。

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