2011/2/21

欧州ビジネスウオッチ

ドイツ取引所とNYSE、合併で合意

この記事の要約

ドイツ取引所とNYSEユーロネクストは15日、合併で合意したと発表した。世界の取引所間では私設取引所も交えた競争が激化しており、両社は合併による規模のメリットを追求し、競争力を強化する意向だ。合併が成立すると売買代金や時 […]

ドイツ取引所とNYSEユーロネクストは15日、合併で合意したと発表した。世界の取引所間では私設取引所も交えた競争が激化しており、両社は合併による規模のメリットを追求し、競争力を強化する意向だ。合併が成立すると売買代金や時価総額で世界最大の取引所が誕生する。

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合併合意によると、2社は登記上の本社をオランダに設置し、本社機能をフランクフルトとニューヨークに置く。出資比率はドイツ取引所が60%、NYSEが40%。ドイツ取引所の出資比率が過半数を超えるのは時価総額が現在114億ユーロと、NYSEの約70億ユーロを上回るためだ。

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新会社の社名は決定していない。報道によると、米国サイドにはニューヨークの名をとどめたいとの思惑が強く、交渉が難航しているもようだ。

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新会社の会長にはドイツ取引所のレト・フランチオーニ会長、最高経営責任者(CEO)にはNYSEのダンカン・ニーダーアウアーCEOが就任。取締役は17人で、ドイツ取引所から10人、NYSEから7人が任命される。

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合併に当たっては両社の株式が新会社の株式と交換される。交換比率はドイツ取引所株が1対1。これに対しNYSE株では1株につき新会社の株式0.47株が割り当てられる。

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2010年の実績をもとに算出した合併後の売買代金は21兆4,420億ドルとなり、2位のナスダックOMX(12兆6,590億ドル)を大きく引き離す。時価総額(259億ドル)も香港取引所(244億ドル)を抜いて1位となる。上場企業全体の時価総額は17兆7,530億ドルとなり、9日に合併合意したロンドン証券取引所(LSE)とトロント証券取引所(TMX)の合計(5兆7,830億ドル)の3倍に上る。

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今回の合併計画ではITやクリアリング、事務などの分野で年3億ユーロのシナジー効果を見込む。また、新商品の共同開発などを通して売上高も拡大する。

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合併手続きは年内終了を見込むが、実現には両社の株主と監督官庁の承認が必要なため、難航する恐れもある。独禁当局は特に、ドイツ取引所のデリバティブ部門ユーレックスとNYSE傘下のデリバティブ部門が統合されると市場が独占される恐れがあるとみて、計画変更を迫る可能性もある。また、競合の取引所が合併計画に異議を申し立てることも考えられる。

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