2011/3/14

環境・通信・その他

欧州委が温効ガス削減の行程表、長期目標達成へ「20年までに25%」

この記事の要約

欧州委員会は8日、EUが掲げる温室効果ガス削減の長期目標を達成するための行程表を発表した。2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で80-95%削減するという目標を効率的に達成するため、20年時点で90年比25% […]

欧州委員会は8日、EUが掲げる温室効果ガス削減の長期目標を達成するための行程表を発表した。2050年までに温室効果ガス排出量を1990年比で80-95%削減するという目標を効率的に達成するため、20年時点で90年比25%、30年時点で同40%、40年時点で同60%の削減を実現する必要があると結論づけている。

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EUは20年までに温室効果ガス排出量を90年比で少なくとも20%削減し、条件付きで削減幅を30%に引き上げるとの中期目標を掲げている。欧州委は行程表について、コスト面で最も効率的に長期的な削減目標を達成するための道筋を示したもので、20年時点の削減目標を上方修正するわけではないと説明。そのうえで、EUが50年までに競争力のある低炭素社会に転換するには90年比で少なくとも80%の排出削減が不可欠だが、現行の施策では40%程度の削減にとどまるとの見通しを示し、次世代送電網(スマートグリッド)をはじめとするインフラ整備など、エネルギー効率改善に向けた取り組みを強化する必要があると指摘している。

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一方、欧州委は行程表で、50年時点におけるセクター別の排出削減の見通しを明らかにした。電力部門は再生可能エネルギーや原子力などの利用比率をほぼ100%に引き上げることで、二酸化炭素(CO2)については90年比93-99%の排出削減が可能とみている。このほか産業、運輸、住宅、農業の各部門について、それぞれ90年比で最大87%、67%、91%、49%の削減を見込んでいる。欧州委は近く、セクター別の削減目標の達成に向けた行動計画まとめる方針を示している。

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ヘデゴー委員(気候変動担当)は声明で「ただちに低炭素経済への移行を開始しなければならない。エネルギー価格が高い水準で推移するなか、取り組みが遅れればそれだけ多くの費用が必要になる。EUは既存の技術を有効活用することで低炭素経済への転換を図ることが可能な状態にあり、すべてのセクターが移行プロセスに寄与する必要がある」と強調した。

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