2011/3/14

環境・通信・その他

航空会社のCO2排出規制、欧州委が排出枠の算定基準を発表

この記事の要約

欧州委員会は7日、温暖化対策の一環として2012年1月から新たに航空会社をEUの排出量取引制度に組み入れる計画に関連して、各社に排出枠を割り当てる際の基準となる過去の排出実績を決定した。\ 新システムではEU域内を離発着 […]

欧州委員会は7日、温暖化対策の一環として2012年1月から新たに航空会社をEUの排出量取引制度に組み入れる計画に関連して、各社に排出枠を割り当てる際の基準となる過去の排出実績を決定した。

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新システムではEU域内を離発着するすべてのフライトが規制の対象となり、日米など域外の航空会社を含めた約4,000社に温室効果ガスの排出削減が義務付けられる。欧州委によると、二酸化炭素(CO2)排出枠の算定基準となる04-06年の排出量は年平均2億1,947万6,343トン。08年のEU指令に基づき、12年はこの97%に当たる2億1,289万2,052トン、13年以降は95%に当たる2億850万2,525トン分の排出枠が各社に配分され、上限を超えた航空会社は排出量取引市場で排出枠を購入するか、制裁金を支払わなければならない。また、各社は排出枠の一部を取引市場で購入することが義務付けられ、欧州委は年内に無償配分とオークションによる取得の比率を決定する方針を示している。

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経済のグローバル化に伴い航空機から排出される温室効果ガスは増加を続けているが、国際線は京都議定書で規制の対象となっていない。欧州委によると、EU域内で排出される温室効果ガスのうち、航空機からのCO2排出量が占める割合は現在のところ3%程度にとどまっているものの、1990年との比較では約2倍に達し、今後さらに拡大するとみられている。航空業界ではCO2排出量の少ない機種を導入するなどの動きもみられるが、新たな規制が実施された場合、ほとんどの航空会社が排出枠の購入を迫られるのはほぼ確実。欧州委は新規制に伴う運賃への影響について、ブリュッセル~ニューヨーク便のエコノミークラス往復で12ユーロ程度にとどまると予測しているが、燃料高騰や金融危機の影響などで業績が悪化している航空会社は新たに重い負担を強いられることになる。

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新システムでは域外の航空会社も規制の対象となるため、米国の航空業界はEU法の域外適用は国際ルールに違反するとして反発を強めている。米航空輸送協会(ATA)は今回の決定を受け、欧州司法裁判所への提訴を検討すると警告している。

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