2011/3/21

総合 –EUウオッチャー

4月利上げに変更なし、日本震災よりインフレ対策重視=ECB総裁

この記事の要約

3月初めに来月の利上げを事実上予告した欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は18日、東日本大震災の影響で世界経済が減速する懸念が出ているにもかかわらず、予定通り利上げに踏み切る姿勢を示した。\ トリシェ総裁は3月3日の定 […]

3月初めに来月の利上げを事実上予告した欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は18日、東日本大震災の影響で世界経済が減速する懸念が出ているにもかかわらず、予定通り利上げに踏み切る姿勢を示した。

\

トリシェ総裁は3月3日の定例政策理事会後の記者会見で、ユーロ圏でインフレ率が急上昇していることへの強い懸念を示し、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を4月に現行の年1.0%から0.25ポイント引き上げることを示唆した。これを受けて市場は、4月の利上げが確定的と一度は受け止めた。

\

ところが、東日本大震災で日本からの部品供給が滞って欧州企業にも影響が出るといった懸念や、福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染への不安から、欧州の株価は急落。市場ではECBが利上げを先送りするとの観測が浮上している。英ロイズ銀行のアナリストは「来月の利上げの可能性は90%だったが、いまや50~75%あたりではないか」とみている。

\

しかし、トリシェ総裁は記者団に対して、先の利上げを予告した発言について「何も加えず、何も引かない。新しいメッセージはない」とコメント。あくまでインフレ抑制を優先し、利上げを実施する構えを崩さなかった。その一方で、「大震災の影響について、今後数日間で慎重に検討する」と述べ、利上げ見送りに含みも残した。

\