2011/3/28

総合 –EUウオッチャー

EU首脳会議、原発の安全性検査実施で合意

この記事の要約

EUは24、25日に開いた首脳会議で、域内14カ国にある原子力発電所143基すべてについて、年内に安全性を点検する検査(ストレステスト)を実施することで合意した。福島第一原発での事故を受けたもので、地震や洪水、停電、テロ […]

EUは24、25日に開いた首脳会議で、域内14カ国にある原子力発電所143基すべてについて、年内に安全性を点検する検査(ストレステスト)を実施することで合意した。福島第一原発での事故を受けたもので、地震や洪水、停電、テロ攻撃、飛行機墜落事故といった非常事態を想定し、EU共通の基準に従って加盟国が検査を実施する。また、ロシア、トルコなどの近隣諸国や世界各国にも検査実施を要請していく方針だ。

\

安全検査の範囲や基準などの詳細は、欧州委と原子力安全規制機関グループ(ENSREG)および加盟各国の原子力安全当局が6月までに詰める。7月から加盟国の当局が検査を実施し、年末までに結果を公表するとともに、欧州委とENSREGに報告する。欧州委は結果を集計し、早ければ年内にも第一次報告書を発表する。

\

検査は欧州委による勧告の形をとる。このため、原発に欠陥が見つかっても対応を強制する力がなく、原発反対派からは「市民を安心させるための方便」との批判があがっている。EUでは原子力安全管理のほぼすべての権限を加盟国が握る。事故が起これば他の国にも影響を及ぼす原発の性格上、今後、EUが安全確保にどのような役割を果たすべきなのかが問われていくことになりそうだ。

\

今回の安全検査は、欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)が提案した。福島の事故を受けて緊急招集された21日のエネルギー相理事会では域内原発の安全基準強化で大筋合意したが、安全検査の具体的内容では一致がみられず、首脳会議に議論がゆだねられた。

\