2011/3/28

産業・貿易

EUが対日EPA交渉入りの可能性に言及、大震災支援の一環で

この記事の要約

EUは25日の首脳会議で、日本との経済連携協定(EPA)の締結交渉を開始する可能性に言及した総括文書を採択した。EUはこれまで、日本製品の流入加速を警戒する産業界の声を受けてEPAに慎重な姿勢を示してきたが、日本が東日本 […]

EUは25日の首脳会議で、日本との経済連携協定(EPA)の締結交渉を開始する可能性に言及した総括文書を採択した。EUはこれまで、日本製品の流入加速を警戒する産業界の声を受けてEPAに慎重な姿勢を示してきたが、日本が東日本大震災で甚大な被害を受けたことを受け、貿易・投資の自由化を通じて支援する方針に転じたとみられる。

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総括文書は、EUと日本と関係の戦略的重要性を改めて強調するとともに、日本政府がEUの求める非関税障壁や公共調達における規制の撤廃に積極的に取り組む姿勢を見せていることを評価。5月に開催する日・EU首脳会議で、「自由貿易協定を開始する可能性も含め、協力関係を強化し、共通の課題に取り組む」と述べている。

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欧州市場で日本とライバルとなっている韓国は昨年10月にEUと自由貿易協定(FTA)を締結。今年7月に発効すれば、日本メーカーの競争力が大きく削がれるため、日本政府はEUにEPA締結を強く働きかけていた。

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欧州委員会のジョン・クランシー貿易政策担当広報官は、今回の総括文書について、EPA交渉の可能性に言及しただけであり、現段階で日程など具体的な事は全くの白紙であることを強調した上で、「首脳たちは5月のサミットで、この問題により深く踏み込むことになるだろう」と述べた。また、英国のキャメロン首相は会議後に記者団に対し、自身が会議で日本とのEPA締結を主張した首脳の1人であったことを明かし、「我々の誠意を示すため、自由貿易協定を締結することを通じて日本経済を支援し、復興を後押しすることが重要だ」と語った。

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