2011/3/28

産業・貿易

仏のGMトウモロコシ禁止は違法、欧州裁が法務官見解

この記事の要約

欧州司法裁判所(ECJ)のパオロ・メンゴッツイ法務官は22日、フランスが米モンサント社の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ「MON 810」の栽培および流通を禁止している問題で、同国が2008年、EUとの事前協議なしにM […]

欧州司法裁判所(ECJ)のパオロ・メンゴッツイ法務官は22日、フランスが米モンサント社の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ「MON 810」の栽培および流通を禁止している問題で、同国が2008年、EUとの事前協議なしにMON 810を禁止したことは違法であるとの見解を明らかにした。法務官の見解に法的拘束力はないが、ECJはおよそ7割以上のケースで法務官の意見に沿った判断を示しており、同様にMON 810の栽培・流通を禁止しているフランス以外の加盟国にも影響を与えることが予想される。

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MON 810はモンサント社が開発した害虫抵抗性トウモロコシで、EUでは1998年から域内での栽培・流通が認可されている。しかし仏政府は08年1月、「安全性に重大な疑問がある」として、環境放出に関するEC指令(2001/18/EC)のセーフガード条項を発動、国内におけるMON 810の栽培・流通を禁止した。セーフガード条項は、EUレベルで承認されたGM作物でも、承認後に新たな重大なリスクが発見された場合には、その新証拠に関するEUレベルの再評価が完了するまで加盟各国がその栽培・流通を一時的に制限または禁止できるというもの。MON 810に関しては、フランス以外にもルクセンブルク、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ブルガリアおよびギリシャが同様の措置を取っている。

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メンゴッツイ法務官は、「欧州委員会から事前に承認を得ることなしに仏当局がMON 810の禁止を決定したことは容認できないことだ」と述べるとともに、04年に導入されたセーブガード条項を、98年から承認されているMON 810に適用することは法的に問題があるとの見解を示した。

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欧州委員会は昨年7月、GM作物の栽培を認めるか否かの判断をEU各国に委ねる方針を打ち出した。GM作物をめぐる加盟国間の対立を解消して認可手続きの迅速化を図るのが狙いだが、GM作物の栽培を認可した国と禁止した国が隣接する場合の汚染防止策などをめぐって調整が難航する可能性もあり、議論は曲折が予想されている。

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