2011/4/11

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が0.25%利上げ、金融危機後で初

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は7日にフランクフルトで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を従来の年1.0%から0.25ポイント引き上げ、1.25%とすることを決めた。ECBの利上げは2008年7月 […]

欧州中央銀行(ECB)は7日にフランクフルトで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を従来の年1.0%から0.25ポイント引き上げ、1.25%とすることを決めた。ECBの利上げは2008年7月以来。リーマンショックに伴う金融危機が発生してから初めてとなる。ユーロ圏内でインフレ率が急上昇していることを受け、超低金利政策からの転換に踏み出した。

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ECBはリーマンショック直後の2008年10月に政策金利を4.25%から3.75%に引き下げたのを機に、段階的に利下げを実施。09年5月には過去最低の1.0%まで引き下げ、これを2年間据え置いてきた。

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しかし、このところ原油、食料価格の高騰で圏内のインフレ率が急上昇。3月は前年同月比2.6%と、ECBが上限目標値とする2%を大きく上回る水準に達している。ECBはユーロ圏の景気回復がドイツをけん引役に進んでいることも考慮し、金融危機以降で日米欧の主要中央銀行で初めて利上げに踏み切った。

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トリシェ総裁は前月の理事会後に、インフレへの「強い警戒が必要」として、4月の利上げを事実上予告していた。このため今回の利上げおよび上げ幅は予想通り。理事会内では、金融政策の「正常化」をさらに進めるべきだとする声が多い。同総裁は理事会後の記者会見で、物価動向を「非常に注意深く見守っていく」とした上で、金融政策は「今後も緩和的だ」とコメント。今回の利上げが「一連の利上げの第一弾と決めたわけではない」としながらも、「物価安定のために必要な措置をいつでも講じる」と述べ、追加利上げを示唆した。

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ただ、ユーロ圏ではドイツなど主要国の多くで景気回復が進む一方で、ギリシャ、ポルトガル、アイルランドなどで信用不安がくすぶっており、ギリシャとポルトガルは2010年10-12月期にマイナス成長となった。ポルトガルは6日、EUに対して緊急金融支援を要請したばかりだ。ECBは物価の安定を最優先課題としているものの、急激な利上げはこうした国々の経済に大きな打撃を与えることから、難しい舵取りを迫られる。

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市場では、トリシェ総裁が今回、これまで翌月の利上げのサインとしてきたインフレへの「強い警戒」という言葉を避けたことから、来月の利上げは見送るとの見方が有力。それでも、ロイター通信が62人のエコノミストを対象に実施したアンケート調査では、約半数が7月には0.25%の追加利上げが実施されると予想している。

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