2011/4/11

産業・貿易

銀行ストレステスト審査基準を厳格化、合格条件はコア資本5%の維持

この記事の要約

欧州銀行監督機構(EBA)は8日、EU域内の銀行に対する新たなストレステスト(健全性審査)について、今後2年間に経済環境が悪化したシナリオで、狭義の中核的自己資本(コアTier1)5%を維持することが合格の条件になると発 […]

欧州銀行監督機構(EBA)は8日、EU域内の銀行に対する新たなストレステスト(健全性審査)について、今後2年間に経済環境が悪化したシナリオで、狭義の中核的自己資本(コアTier1)5%を維持することが合格の条件になると発表した。前回テストが十分でなかったとの反省に立ち、昨年より厳格な基準で各行の財務状況を厳しくチェックする。今回のテストでは90行が対象となり、結果は6月に公表される。

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昨年のテストでは優先株なども含めた中核的自己資本(Tier1)6%が合格基準となっていたが、今回はバーゼル銀行監督委員会の資本定義に沿って、普通株や利益の内部留保から成るコア資本比率を基に審査が行われる。焦点の1つだった主にドイツの州立銀行が準備金として保有する議決権のない資本「サイレント・パーティシペーション」に関しては、原則として資本への算入は認められない。

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EBAによると、今回のテストは20011年にユーロ圏のGDPが0.5%のマイナス成長となり、欧州の株式相場が15%下落したシナリオを想定。さらに欧州各国のソブリン債の利回りが0.75%上昇し、銀行間取引市場の短期金利が1.25ポイント上昇したシナリオでも査定を行う。不合格となる銀行はごく少数にとどまるとみられているが、想定したシナリオでコアTier1が5%を割り込んだ場合は増資や資産売却などによる資本増強が求められる。

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EBAは昨年より厳格な基準を採用することで、ストレステストの透明性を高めることができると強調。米当局による銀行の健全性審査と同様の内容になると説明している。アナリストらの間でも今回の審査基準は昨年の基準より厳しいとの見方で一致しているが、依然としてソブリン債リスクが考慮されていない点などを問題視する声も出ている。

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