2011/4/11

産業・貿易

欧州委が企業統治強化策を提案、女性と外国人の役員選任など柱

この記事の要約

欧州委員会は5日、 コーポレートガバナンス(企業統治)の強化に向けた施策案を公表した。企業経営の健全性や透明性を高めるため、女性や外国人の役員選任を義務付けて役員会に多様性を持たせることや、株主の役割と権限を見直して経営 […]

欧州委員会は5日、 コーポレートガバナンス(企業統治)の強化に向けた施策案を公表した。企業経営の健全性や透明性を高めるため、女性や外国人の役員選任を義務付けて役員会に多様性を持たせることや、株主の役割と権限を見直して経営参加を促すことなどを柱とする内容になっている。欧州委は7月22日まで施策案に対する意見募集を行い、各方面からの反応を踏まえて新たな規制を含めた具体策の検討に入る方針を示している。

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EUでは経済危機の再発防止に向けた取り組みの一環として、金融機関に対する監視強化を進めているが、今回の施策案はさまざまな業種の主として上場企業を対象としている。欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は声明で「現在の経済状況を踏まえ、これまで以上により良い企業統治が求められている。短期的な視点からの投資判断は悲惨な結果をもたらしてきた」と指摘。域内企業の競争力を高めるためにも企業統治に関する既存の枠組みを抜本的に見直す必要があると強調した。

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欧州委はまず、役員会の構成について、多様な経歴や専門知識を持つ人材を配置することで役員会の機能を強化し、より適切な経営判断やリスク管理につなげることができるとして、企業に女性や外国人の選任を義務付けることを提案している。ただし、メンバーに占める女性や外国人の比率を何パーセントにするかなど、具体的な基準や目標は設定していない。英紙フィナンシャル・タイムズによると、EU内の上場企業では監査役会における女性の割合が12%にとどまるほか、外国人役員の比率もオランダでは半数を超えているのに対し、ドイツでは8%と、国によるばらつきが大きい。

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一方、株主のあり方に関しては、議決権行使の透明性確保と情報開示を促す必要があると指摘。特に株主総会で出される議決案件を承認すべきか、否認すべきかを株主に助言する「プロクシーアドバイザー(議決権行使アドバイザー)」に依存する投資家が増えている実態に触れ、こうした助言会社に対する規制について検討する方針を示している。

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このほかEU各国で導入されている既存の規則や自主規制を総点検し、企業統治に関する指針に抵触した企業に釈明を求めるルールの厳格化や、監督機関の権限強化などについて検討することも施策案に盛り込んでいる。

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