2011/5/9

環境・通信・その他

海底油田事故に備え「汚染者負担」範囲拡大、欧州委が新ルール提示へ

この記事の要約

欧州委員会は昨年4月に発生した米メキシコ湾の原油流出事故を教訓として、EU域内の海岸から200海里までの水域に油が流出した場合、石油会社に汚染除去などの費用をすべて負担させるための法案づくりを進めているもようだ。AFP通 […]

欧州委員会は昨年4月に発生した米メキシコ湾の原油流出事故を教訓として、EU域内の海岸から200海里までの水域に油が流出した場合、石油会社に汚染除去などの費用をすべて負担させるための法案づくりを進めているもようだ。AFP通信が欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)に近い筋の話として報じたもので、同委員は7月に法案を提出する見通しという。

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EUでは汚染者負担原則に基づく環境責任指令により、海底油田の開発を手掛ける石油会社は事故で原油が流出した場合、環境損害に伴う費用を負担することになっているが、同ルールの適用範囲はプラットフォーム(掘削基地)から半径12海里に限定されている。欧州委はメキシコ湾並みの大規模な事故を想定して、より広い範囲で事業者に環境汚染の責任を負わせることを目指しており、新たな規制に対しては石油業界からの強い反発が予想される。

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AFPによると、欧州委はメキシコ湾の事故を受け、EU海域での深海掘削事業を一時禁止する方向で調整を進めていたが、北海油田で探査・掘削を手掛ける英国やデンマークの強い反対で断念した経緯がある。EU海域では約1,000の石油掘削プラットフォームが稼働しており、内訳は英国が486と約半数を占め、オランダ(181)、イタリア(123)、デンマーク(61)と続いている。

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