2011/5/9

欧州ビジネスウオッチ

独ティッセンクルップ、ステンレス鋼事業など分離・売却へ

この記事の要約

鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップは5日、売上高で総額100億ユーロの事業を分離・売却する計画を発表した。将来性の高い事業に経営資源を集中するほか、債務を圧縮するのが狙いで、ステンレス鋼事業の分離が最大の柱となる。同計 […]

鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップは5日、売上高で総額100億ユーロの事業を分離・売却する計画を発表した。将来性の高い事業に経営資源を集中するほか、債務を圧縮するのが狙いで、ステンレス鋼事業の分離が最大の柱となる。同計画は13日の監査役会を経て成立する見通しだ。

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ステンレス事業は売上高が59億ユーロで、欧州市場で30%のシェアを持つ最大手だが、市場が供給過多に陥っているうえ、原料のニッケル価格が大きく変動しやすいため、同社はグループから分離。同業との戦略提携などを模索する。競合のアルセロールミタルも今年、ステンレス鋼事業を分社化し株式公開した。

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このほか同社は、米鋳鉄子会社ウォーパカ(売上高9億ユーロ)と独特注部品子会社テイラードブランクス(同6億ユーロ)、サスペンション事業とブラジルの自動車部品事業(7億ユーロ)を売却する。また、シャシ子会社のビルシュタイン・グループとプレスタを統合(2社の売上高は計22億ユーロ)したうえで、他社との戦略提携などを模索する。

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ティッセンクルップの有利子債務は現在58億ユーロに上る。1月に就任したハインリヒ・ヒージンガー社長は債務圧縮を最優先する方針を打ち出し、全事業の見直しを進めている。

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