2011/5/16

産業・貿易

欧州議会が衣料品の表示ルール可決、毛皮と本革に素材表示義務

この記事の要約

欧州議会は11日の本会議で衣料品のラベル表示に関する規制案を賛成多数で可決した。毛皮や本革を使用した製品について、製造業者に素材表示を義務付けることを柱とする内容。一方、原産国の表示ルールは一部加盟国の強い反対で導入が見 […]

欧州議会は11日の本会議で衣料品のラベル表示に関する規制案を賛成多数で可決した。毛皮や本革を使用した製品について、製造業者に素材表示を義務付けることを柱とする内容。一方、原産国の表示ルールは一部加盟国の強い反対で導入が見送られる。欧州議会と加盟国は4月下旬に開いた調停委員会で規制案の内容で合意しており、閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが施行される。ただし、毛皮と本革のラベル表示に関しては、中小メーカーの負担を考慮して2年半の移行期間が設けられる。

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新規制によると、衣料品に毛皮や本革が使用されている場合、メーカーは「動物由来の非繊維素材」が製品に含まれていることを明確に表示しなければならない。これによって人工毛皮や合成皮革と天然の毛皮や皮革を容易に区別できるようになり、たとえば動物アレルギーをもつ消費者は、天然素材の毛皮が使用された製品を回避することで症状を未然に防ぐことができる。

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一方、欧州議会は中国などからの輸入品が「EU産」として販売されるケースが急増している現状に対応するため、昨年5月に域内で販売される衣料品に原産国の表示を義務付けるルールを盛り込んだ規制案を賛成多数で可決した。しかし、一部加盟国がこれに強く反対し、法制化に向けた交渉が難航。先の調停委で同ルールを規制案から削除したうえで、欧州委員会に原産国表示のスキームについて実行可能性を検証するよう要請することで合意が成立した。欧州委は2013年9月末までに報告書をまとめることになっており、その際、新たな規制案を打ち出すものとみられる。

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このほか欧州議会は欧州委に対し、現在は国ごとにばらつきがある衣料品のサイズ表示や、アレルギーや可燃性など健康や安全に関する警告などの表示について実態を調査し、13年9月にまとめる報告書に共通ルール導入についての検討結果を盛り込むよう求めている。

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