2011/5/30

環境・通信・その他

ガリレオ計画が本格始動、10月に初の実用衛星打ち上げへ

この記事の要約

欧州委員会は23日、EU独自の衛星利用測位システム「ガリレオ」計画について、10月20日に最初の実用衛星2基を打ち上げると発表した。その後、順次打ち上げを進めて2013年末までに衛星18基を軌道に乗せ、14年の運用開始を […]

欧州委員会は23日、EU独自の衛星利用測位システム「ガリレオ」計画について、10月20日に最初の実用衛星2基を打ち上げると発表した。その後、順次打ち上げを進めて2013年末までに衛星18基を軌道に乗せ、14年の運用開始を目指す。同プロジェクトは資金難や運営方針をめぐる加盟国の対立などから一時は頓挫の危機に直面したが、当初の計画から6年遅れでようやく本格的に動き出す。

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ガリレオは米国の全地球測位システム(GPS)に対抗してEUが開発を進める民生用の測位システムで、衛星情報を鉄道や車両の運行管理、航空管制、資源探査、都市計画、犯罪捜査などに役立てることを目的としている。すでに実験用衛星2基が打ち上げられており、最終的に30基体制になる予定。立案段階で34億ユーロとされた総事業費は今年に入り54億ユーロに上方修正されたが、欧州委によると、最終的には当初の見積もりの範囲内で収まる見通しという。

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発表によると、衛星2基は南米フランス領ギアナのクールー宇宙基地から高度2万3,600キロに打ち上げられる。その後、12年春に6基、13年初めにさらに14基を打ち上げ、14年からオープンサービス(誰でも利用できる測位データの無償提供)、捜索・救助サービス、各国政府向けサービスを開始する。19年までに全衛星の配備が完了する見通し。ガリレオの運用コストは年間8億ユーロに上るが、欧州委は20年間で600億ユーロの経済効果を見込んでいる。

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欧州委のタヤーニ副委員長(産業担当)は声明で「実用衛星の打ち上げは歴史的に重要な一歩となる。欧州の中小企業とイノベーターはガリレオのインフラ基盤に基づいて製品開発を進め、ビジネス機会を獲得することができる」と強調。「ガリレオは投資に値するプロジェクトであり、資金面で加盟国の協力に期待している」と述べた。

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