2011/5/30

環境・通信・その他

原発「ストレステスト」、来月実施が決定

この記事の要約

EUは25日、域内14カ国で稼働している原子炉143基の安全性を検査するための「ストレステスト」を6月1日から実施すると発表した。自然災害(地震、津波、洪水、森林火災など)や老朽化、人為的要因による事故(テロ攻撃、サイバ […]

EUは25日、域内14カ国で稼働している原子炉143基の安全性を検査するための「ストレステスト」を6月1日から実施すると発表した。自然災害(地震、津波、洪水、森林火災など)や老朽化、人為的要因による事故(テロ攻撃、サイバー攻撃、航空機事故など)に対する安全性と耐久性について、総合的にチェックする。検査基準は域内共通とし、欧州委と加盟各国の原子力規制機関で組織する欧州原子力安全規制機関グループ(ENSREG)が設定する。対テロ攻撃などに関する検査は新たに設置する作業部会が担当するが、安全保障上の理由から結果は非公開とした。

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ストレステストは6月1日から、次の3段階に分けて実施される。◇「予備審査」――原子炉の安全性等に関するアンケートを原子力発電事業者に配布。各事業者は質問に答えるとともに、回答を裏付ける書類や研究結果、計画書などを添付して提出◇「国別報告書作成」――各国の原子力安全規制機関が、各事業者の回答が信頼に足るものであるか否かを確認、報告書を作成◇「相互審査」――複数国の出身者7人(欧州委の代表1人と加盟27カ国いずれかの規制当局者6人)からなるチームが、各国の報告書を精査。チームの判断により、必要とみなされた場合には原子炉の視察を行う――。

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欧州委は結果を集計し、早ければ年内にも第一次報告書を発表する予定だ。欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)は「福島第一原発の事故では、人為的ミスが影響した」と指摘しており、ストレステストでは原発の施設のみならず、関係者の行動も検査対象になるとみられる。

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EUでは原子力の安全管理にかかわるほぼすべての権限を加盟各国が握っており、ストレステストで原発に欠陥が見つかっても、EUにその閉鎖を命じる権限がない。ただし、閉鎖が妥当との判断にもかかわらずそれに従わない加盟国には、相応の説明を求める考えだという。一方、テッエィンガー委員はロシアやウクライナ、スイスなどの周辺国にも、同様のストレステスト実施を呼びかけている。

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