2011/5/30

環境・通信・その他

スイスが原発廃止へ、新設計画を撤回

この記事の要約

スイス政府は25日、原発2基の新設計画を撤回する方針を明らかにした。日本の原発事故を受けた措置で、今後は再生可能エネルギーなどを強化していく。既存原発は長期的に廃炉となるため、国内の原発は2034年頃にすべて廃止される見 […]

スイス政府は25日、原発2基の新設計画を撤回する方針を明らかにした。日本の原発事故を受けた措置で、今後は再生可能エネルギーなどを強化していく。既存原発は長期的に廃炉となるため、国内の原発は2034年頃にすべて廃止される見通しだ。政府は関連法案を今秋にも議会に提出する。

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スイスには現在、原発が5基ある。国内の発電総量に占める割合は39%で、水力(同56%)に次いで2番目に大きい。同国の原発稼働期間は50年が目安とされており、これら原発は2019~34年にかけて順次、廃炉となる見通し。ただ、政府は電力安定供給の維持を原発廃止の前提としているため、実際の廃止年が34年の前後にずれ込む可能性もある。

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原発廃止の穴埋めに向けては、水力発電と再生可能エネルギー発電の拡充、電力利用の効率化で対応し、必要があれば熱電併給システムとコンバインドサイクル発電の導入も検討する。それでも消費電力を賄えない場合は電力の輸入に踏み切る。

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原発廃止は固定した方針ではなく、政府は2034年以降も原発を長期的に利用する可能性を視野に入れている。記者会見に臨んだドリス・ロイトハルト環境・エネルギー相は、原発廃止が投資家に否定的に受け止められスイス経済に悪影響をもたらす恐れがあるためだと理由を語った。

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