2011/6/13

産業・貿易

「ナブッコ」計画で協定に調印、EU4カ国とトルコ

この記事の要約

EU加盟4カ国とトルコは8日、ロシアを迂回してカスピ海周辺国の天然ガスをトルコ経由で欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の建設プロジェクトの支援に関する協定に調印した。トルコのアナトリア通信などが報じた。これにより、プロ […]

EU加盟4カ国とトルコは8日、ロシアを迂回してカスピ海周辺国の天然ガスをトルコ経由で欧州に運ぶ「ナブッコ・パイプライン」の建設プロジェクトの支援に関する協定に調印した。トルコのアナトリア通信などが報じた。これにより、プロジェクトの法的枠組みの整備が完了し、パイプラインの着工に向けて動き出すことになる。

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ナブッコは、トルコからオーストリアに至る全長3,300キロの天然ガスパイプラインで、総工費は約79億ユーロ、輸送能力は年間310億立方メートルを見込む。ただ、政治的理由により、天然ガスの供給候補国のひとつであるイランからの調達が不可能になったほか、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラクとの交渉も長引いており、供給先の確保が進んでいない。このため、プロジェクトの事業母体であるナブッコ・ガスパイプライン・インターナショナルは先月6日、着工を当初計画から1年遅れの2013年に、稼働開始も15年から17年にそれぞれ先送りすると発表した。

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EUはガス供給源や輸送ルートの多様化を進めてエネルギー分野におけるロシア依存からの脱却を図ろうとしており、ナブッコ計画をエネルギー戦略の柱の1つと位置づけている。完成すればカスピ海産の天然ガスをロシアを迂回して欧州に輸入することが可能になるため、警戒感を強めるロシアは、自国産天然ガスを黒海経由で欧州に輸送するパイプライン「サウス・ストリーム」プロジェクトで対抗している。

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