2011/6/27

産業・貿易

銀行健全性審査でソブリン債リスク考慮、EBAが審査基準変更を通達

この記事の要約

欧州銀行監督機構(EBA)は23日、EU域内の銀行を対象に実施するストレステスト(健全性審査)について、ソブリン債に起因する追加的な損失を審査基準に織り込む方針を明らかにした。ギリシャの債務問題が深刻化している状況を踏ま […]

欧州銀行監督機構(EBA)は23日、EU域内の銀行を対象に実施するストレステスト(健全性審査)について、ソブリン債に起因する追加的な損失を審査基準に織り込む方針を明らかにした。ギリシャの債務問題が深刻化している状況を踏まえた措置で、各行は24日までにソブリン債リスクを反映させた最新のデータを改めて提出することになる。ストレステストでは91行が対象となり、審査結果は7月半ばに公表される見通しだ。

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EBAは声明で「ギリシャの厳しい状況を注視している。ストレステストではソブリン債リスクや銀行の資金調達コストを考慮した市場環境が審査されることになる」と説明。各国の銀行から提出されたデータには「ソブリン債の保有などに関して不整合性や楽観的すぎる見方」が含まれていると指摘。各行に対してギリシャなど財政危機国のソブリン債がデフォルト(債務不履行)に陥る確率と、デフォルトに伴う損失を算出し、ソブリン債保有に関連したリスクを正確に反映させるよう指示したことを明らかにした。消息筋によると、EBAはドイツ、スペイン、ポルトガルなどの銀行によるリスク査定が不十分とみているもようだ。

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今回のストレステストでは今後2年間に経済環境が悪化したシナリオで、狭義の中核的自己資本(コアTier1)5%を維持することが合格の条件になる。昨年のテストでは優先株なども含めた中核的自己資本(Tier1)6%が合格基準となっていたが、今回は普通株や利益の内部留保から成るコア資本比率を基に審査が行われる。2011年にユーロ圏のGDPが0.5%のマイナス成長となり、欧州の株式相場が15%下落するといったシナリオでコアTier1が5%を割り込んだ場合、銀行は増資や資産売却などによる資本増強を求められる。

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