2011/7/4

環境・通信・その他

児童の性的虐待・ポルノ対策法案、欧州議会と閣僚理が合意

この記事の要約

欧州議会、閣僚理事会、欧州委員会の3者は6月30日、児童の性的虐待や児童ポルノへの対策強化を目的とする指令案の内容で基本合意した。EU共通の罰則基準を定め、違法行為に対してより厳しい刑事罰を科すことを加盟国に求める内容で […]

欧州議会、閣僚理事会、欧州委員会の3者は6月30日、児童の性的虐待や児童ポルノへの対策強化を目的とする指令案の内容で基本合意した。EU共通の罰則基準を定め、違法行為に対してより厳しい刑事罰を科すことを加盟国に求める内容で、インターネット上で流通する児童ポルノの閲覧や、性的搾取などの目的でネットを介して児童を誘惑する「グルーミング」と呼ばれる行為などが新たに処罰の対象となる。欧州議会と閣僚理事会の正式な承認を経て実施される。

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欧州委によると、欧州では10-20%の児童が性的虐待や児童ポルノの対象にされるといった被害に遭っており、児童ポルノが掲載されたサイトは現在も増え続けている。EUでは2004年の「枠組決定」に基づいて児童に対する性的虐待や児童ポルノを取り締まっているが、インターネットの普及に伴い現行ルールでは対応できないケースが急速に増えている。一方、この種の犯罪では再犯率が20%に上るとされる。欧州委はこうした現状を踏まえ、2010年3月に枠組決定に代わる新たな規制として「児童の性的虐待及び性的搾取並びに児童ポルノ対策に関する指令案」を打ち出し、欧州議会と閣僚理事会で検討を重ねていた。

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指令案によると、児童ポルノサイトの閲覧、グルーミング、児童ポルノ撮影はすべて懲役・禁錮刑の対象となる。買春ツアーを利用するなどしてEU域外で違反行為を行った場合も処罰される。一方、加盟国は児童ポルノサイトを速やかに削除することが求められ、技術的に削除が難しい場合はインターネット接続業者(ISP)を通じて違法サイトへのアクセスを遮断し、ユーザーが閲覧できないようにすることが義務付けられる。ただし、こうした「ブロッキング」の具体的な方法は各国の判断に委ねられる。

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指令案にはこのほか、被害に遭った児童が司法当局などによる聴取に際してトラウマを受けたり、出廷を強要されることがないよう十分に配慮することや、再犯防止につなげるための犯罪者への個別対応などが盛り込まれている。

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